第215話シュワちゃんのお悩み相談所7

「ネコマ先輩、どもども」

「シュワちゃんどもだぞー!」

「え、えええぇぇ!? ちょ、ちょっとシュワちゃん!」


 突然呼ばれても全く動じていないネコマ先輩とは対照的に、ちゃみちゃんは驚きの声をあげた後、見るからにワタワタとし始めた。


コメント

:余りにも前触れのないネコマー登場

:暇そうだったからで先輩連れてくるなwww

:こればっかしはちゃみちゃんの反応が正しい

:なんで平然と挨拶してるんだこの人たち

:あれ、俺ネコマ登場の伏線見逃したかな……

:俺はこの企画が始まったこと自体が伏線だと気が付いたぜ!

:クソ企画扱いで草、一応ここまで解決はしてるから……


「どうしたのちゃみちゃん? ほら、ネコマ先輩に挨拶しないと」

「そ、それはそうなんだけど! わ、私ネコマ先輩と大型コラボとか以外ではほぼ面識ないのよ!」

「ちゃみちゃんもどもだぞー!」

「あっはひ! えっと、その、どうもです……」

「あれだよな、企画を見るになんか悩みがあるんだよな?」

「ぁ……ぇと……悩み……ぁの……」


 あー確かにこの二人が一緒に居るのってあまり見ないかも。ここまで人見知り全開のちゃみちゃんは久しぶりに見たかもしれない。

 だが、実は私も全くの考え無しでネコマ先輩を呼んだわけではなかった。


「ちゃみちゃん、緊張するのは分かるけどここは頑張りどころだよ!」

「ぇ? 頑張りどころ?」

「だってちゃみちゃんはエーライちゃんともっと仲良くなりたいのが悩みだったわけでしょ? その点で見ればエーライちゃんと仲のいいネコマ先輩はちゃみちゃんの目指すべき姿とも言えるんじゃないかな?」

「はっ! た、確かにそうね!」


 そう、ネコマ先輩とエーライちゃんは獣っ娘と動物好きという関係性から繋がりが生まれ、今ではよく一緒にコラボしている姿が見られる程仲がいいのだ。

 同期の面々と比べるのは流石に厳しいかもしれないが、それを抜かすと現在ネコマ先輩はエーライちゃんと最も仲がいいライバーだと思われる。

 しかもワルクラ内でちゃみちゃんの最終目標でもあるペットになっていたこともあったはずだ。


「だからさ、ネコマ先輩を知ることこそがこの悩みの解決に繋がるんじゃないかと私は考えたわけよ! それにちゃみちゃんの人見知り克服にも繋がって一石二鳥!」

「すごいわシュワちゃん! 天才! 素敵!」

「ちょろい……」

「ん? なにか言ったかしら?」

「いやなにも」


 嘘をついてはいないとはいえ、一切疑いを持たないちゃみちゃんがそれはそれで心配になったが、これ以上先輩を待たせるわけにはいかないか。


「えーっと、ネコマ先輩、話の流れって伝わっていますか?」

「おう! なんとなくだけど、とりあえずちゃみちゃんと話してみればいいんだろ?」

「そうですね。突然呼んでしまい恐縮ですが、ちゃみちゃんの為、少しだけ付き合っていただけると……」

「にゃにゃ! 任せるがいいぞ! クソゲー好きだから理不尽な展開も大好物だ!」

「助かります……よしっ、それじゃあちゃみちゃん、頑張れ!」

「ええ!」


コメント

:ただのちゃ虐ではなかったか

:ネコマー優しい

:猫に逆に面倒見られるちゃみちゃん

:解釈一致だw


 いい返事をしてくれたちゃみちゃん、その一手目は――


「えっと……ご、ご趣味は?」

「なんかお見合いみたいになったぞ? シュワちゃん、これ続けていいのか?」

「お願いします!」

「そうか……えっと、クソゲーとクソ映画を嗜んでるぞ」

「ぁ、そうですか……わ、私は声フェチです……」

「そうかぁ……」

「ぅぅぅ……」

「が、頑張れちゃみちゃん! ここから話を広げていくんだ!」

「シュワちゃん……はっ! そうだ! あとボイスSEXイリュージョニストもやってます!」

「ばかああああぁぁーー!?!?」


 なんでよりによってそれを言った!?


「ご、ごめんなさい。頭真っ白の時にシュワちゃんのエールを聞いていたらそれが浮かんできちゃって……」

「確かにその悲惨な単語が初めて出てきたきっかけ私だったけども!」

「にゃあにゃあ(まぁまぁ)シュワちゃん、この程度なら聖で慣れてるからネコマはなんとも思わないぞ!」

「本当にありがとうございますネコマ先輩……なでなで」

「にゃあ~♪」


コメント

:大草原

:お互いがお見合いを断りたい設定のコントかな?

:ちゃみちゃんに至ってはリスナー全員と結婚してるから既婚者だしな

:籍が緩いんじゃぁ

:ちゃみちゃんがいつにもましてちゃまちゃましてるなぁ


「にゃ、そうだネコマはあれもできるぞ、最近あんまやらないけどモノマネ得意だ!」

「あっ、そうでしたね! ……あれ? じゃあ声フェチのちゃみちゃんと相性いいのでは?」

「――――」


 私がそう言った瞬間――ちゃみちゃんの雰囲気が――変わった。

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