第203話シュワシュワ雑談配信1
雑談配信――マネージャーの鈴木さん曰く、それは雑というワードが入っていながら、ライバーとしての力量ががっつり試される場でもある。
企画力やゲームスキルなど、ライバーにとって有効に働く才能は多々ある。だが、余程変わった活動内容でもない限り、ライバー活動をするにおいて最も必要になってくる才能、それはトークスキルであり、人気のライバーは総じてトークが上手い傾向があるらしい。
そう語った鈴木さんに私はこう答えた。
「ストゼロ飲めばよくないですか?」
「日本語リスニング0点ですか?」
これは、鈴木さんが熱く語るほど大切な雑談配信に、日々ストゼロガンギマリのシュワシュワ状態で挑んでいる私の今夜の一枠である。
「そういえばさ、皆に見て欲しいものあるんだよ。待ってね画像出す……あった、これこれ!」
コメント
:なにこれ?
:水に濡れてる画用紙?
:?? 濡れてる紙にしか見えん
:濡れ方が微妙に人の顔っぽくね?
:リスナー一同大困惑
「これね、この前描いてみた自画像なんだよ!」
コメント
:え?
:これが……自画像……?
:もしかして病んでる?
:絵心ないとは思っていたけどまさかここまでとは……
:これは画伯ですわ
:ましろんが見てたら泣いてそう
:これが自画像だとしたらシュワちゃん人間じゃねぇぞ
:オークションで155円でも買い手付かなそう
:酷評過ぎて草
:やばい……俺分かっちゃったかも……
「ふっふっふ! ボロクソ言ってるやつらはアートの才能がないみたいだね! 実はこれ、このシュワちゃんが編み出したストゼロを画材にして絵を描く画法、つまりは水彩画ならぬストゼロ彩画で描かれているんだよ!!」
コメント
:大草原
:ストゼロ噴き出したわ
:病院に住め
:これは画伯ですわ!
:この発想は人間じゃない、間違いなく
:ましろんが見てたらガチ泣きしてる
:155憶!!
:描き手によって絵の価値がコロコロ変わるアート界の闇を見た
:一気に描かれてるのシュワちゃんに見えてきて草
:これもう本気の天才だろ
「ふっふっふ! どうだ皆! ひれ伏したか! これからは皆もストゼロ彩画の道に入ってシュワちゃんを教祖として崇めるがいい! 共にストゼロアートをガン極めるぞー!!」
コメント
:印象派、シュルレアリスム派、ストゼロ派
:やばい、印象もシュルレアリスムも酒の名前に見えてきた
<相馬有素>:今から描くのであります!
:早速追従する人出てきてる
:無駄遣いしない範囲でね……
:本当にオークションに出したらえげつない値段付きそう
:¥155
:¥211
:¥1550
:¥2110
:本当にオークション始まってて草
「いやぁ皆よくアスキーアートとか送ってくれるし、同期にましろんもいるから私もアートに手を出したくなっちゃってさ! アートといえば自己表現、私の自己表現と言えばストゼロってことでこうなったよね! もうすごいんだよこの絵、だって今の私と同じでストゼロの匂いするもん! 自画像の域超えてるよなすっげぇ酒くせぇ!」
コメント
:そりゃあストゼロで描いてあるからストゼロの匂いするに決まってるだろ!
:暗に自分のこと酒臭いって言ってて草
:絵のモデルと同じ匂いがする絵画とか世界初じゃね? 革命だろ
:あれ? ということはストゼロはシュワちゃんの香水でもある?
:皆正気に戻れ
「ん、今香水って見えたな。香水かぁ、実はほぼ付けたことないんだよね。これが女子力の低さなのだろうか……。あーでもあれは言ってみたいな。マリリンモンローがなに着て寝てますか?って聞かれた時シャネルの5番って答えたみたいに、私もサ〇トリーの0番って答えてみたい!」
コメント
:比べるな
:ストゼロのことサ〇トリーの0番って呼ぶやつ初めて見た
:それもこれも全部ドルチェ&ガ〇バーナのせい
:とばっちりが過ぎる
:シュワちゃんの雑談はこの理解不能な感じが好き
:常時理解できる事の方が少ないような……
:ライブオンに理解を求めたら負けなんだよなぁ
「例の曲のドルガバネタがもう懐かしく感じるんだから時間の流れってやつは早いものだ……。皆もシュワちゃんが3年ぶりくらいのLINEで夜中にいきなり『ストゼロ買ってきて』って連絡しても許してね!」
コメント
:ブロック不可避
:通報するぞ
:大型トラックで155カートン持って行ってやるから覚悟してろ
:ガチで君を求めてないです
:寝ろ
「辛辣すぎて目からストゼロが……よよよ……。そうだ、今度の歌枠で香水歌おっと」
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