第69話ちゃみちゃんと遊園地振り返り配信4

「うーん……」

「あれ、どうしたのみちるちゃん?」


私たちのコーヒーカップに乗る順番が来て、いざカップに腰掛けたところでみちるちゃんが悩まし気な声を上げた。


「もしかしてFUJISIMAのダメージが残ってる? 乗るのやめとこうか?」

「あ、それはもう大丈夫よ。ただその……お恥ずかしながらお手洗いに行っておいた方がよかったかなと思って」

「ああ~なるほど……どうしようか? 私は全然乗るの後回しにしても大丈夫だよ?」

「心配しないで、それには及ばないわ。全然我慢できるレベルだから。ほら、そろそろ始まるわよ!」

「お、きたきた!」


ゆったりとしたペースで回り始めたコーヒーカップ。

当然のことながら周りの一部は早々に回る速度を上げ、中身を振り払うかのような速度で回るコーヒーカップにはしゃぎ始めている。うんうん、これもコーヒーカップの醍醐味だよね!

でもFUJISIMA後の私たちには今のゆったりペース丁度いい、このまままったりおしゃべりタイムにしよう。



「ねぇ雪ちゃん」

「はい、なんとなく言いたいことは分かります」


これからどのアトラクションに行こうかなどを話しているうちに、もうそろそろ終了と思われるまで時間が経った。

確かに優雅な時間を楽しんでいた私たちだったのだが、段々と異変も起こっていた。ふとした拍子に目線が高速回転しているカップに吸い寄せられるのだ。

単刀直入に言おう、めっちゃ回したい!!

仕方ないだろう! 見てるとやりたくなってしまうのが人のサガなのだよ!


「最後にちょっとだけ……やっちゃいます?」

「そうね、やっちゃいましょうか」

「そうと決まれば――」

「「全力で回せえええぇ!!」」


カップのテーブル部分を二人息を合わせて容赦なく回す。


「おお速い速い! サラマンダーよりずっと速い!」

「キャッ! ふふっ、髪の毛が暴れてるわ」


やっぱ楽しいなぁこれ……うん、楽しいんだけどさ……なんかこれ……速過ぎね?

え? 見てるだけじゃ分からなかったけど、実際に体験してみるとこれ人間が耐えられる限界くらいの速さになってない? コーヒーカップって限界まで早くしてもそこまでだった記憶があるんだけど。


「あ」


その時私は思い出した――ここは普通の遊園地ではなくあの富士竜アイランドだということに―― 

そう、絶叫系が名物なここではコーヒーカップの回転速度でさえ青天井とも感じる程速くなるのだ!


「うおおぉぉ体が持ってかれるううぅ!?」

「こ、この速度はまずいわ!! あ、あ、油断したら漏れちゃいそう!!」

「なるほど、ティーカップにレモンティーが注がれるわけですね。コーヒーカップって英語圏ではティーカップっていうらしいし、ありがたくいただきます」

「いただかせないわよ! こんな時にまでボケないの! 早く回転止めるわよ!」


コーヒーカップは三半規管破壊型絶叫マシーン、皆覚えておこうね!

その後時間制限のきたコーヒーカップから降りた私たちは思い思いに富士竜アイランドを楽しんで周った。

ホラー系のアトラクションに行ってみたり……


「は! 今のはリア充カップルの悲鳴!? 陽キャ間違いなしだわ、鉢合わせしないようにしないと。なんて恐ろしいホラーギミックなの……」

「みちるちゃん、それ想定されたギミックちゃうで」


それが終わったらまた絶叫系にチャレンジしてみたり……


「ちょ、ちょっと休憩! 雪ちゃんは……全然大丈夫そうね、結構絶叫系得意なの?」

「いや、多分昔より強くなってる感じですね。なんか絶叫系から降りたときの感じがストゼロキメたときに似ててちょっと気持ちいいんですよ。シュワっていいですか?」

「だめよ。絶叫系アトラクションからストゼロを摂取するのはやめなさい」

「すごい日本語だな」


心行くまで一日を楽しんだのだった――



「遊園地が終わった後は予約してた近くのホテルに泊まって、翌日少しだけ観光して帰った感じですね!」

「本当に楽しかったわ。付き合ってくれてありがとう淡雪ちゃん」

「いえいえ、私も久しぶりの遊園地だったので最高でした。またどこか行きましょうね」


コメント

:てぇてぇ ¥3000

:ちゃみちゃま外出出来てえらい! 

:今度はあわちゃんとラブホ行って、どうぞ

:ラブホ女子会かな?

:ストゼロ飲んでシュワちゃんが登場からのちゃみちゃんに襲い掛かるのが容易に想像できた


「ちなみにホテルで夜食としてコンビニのおでん買ってきて食べたんですけど、店員さんに注文するときちゃみちゃんキョドって『しらたきと玉子』を頼むつもりが『白子と玉ねぎ』って言い間違えてめっちゃおもしろかったです」

「そ、それは忘れてぇ!」


コメント

:草

:なにそれかわいい

:白子はしらたきと玉子が合体して出来たんだと思うからまだ分かるけど玉ねぎのねぎはどっからwww

:どっちもコンビニおでんのメニューに存在しないじゃねぇか笑

:最後の最後までちゃみちゃんたっぷりやな

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