第67話ちゃみちゃんと遊園地振り返り配信2

「さて、いよいよ本題の遊園地の話に参りましょうか!」

「そうね、どの話からする?」

「ちゃみちゃんが駅で迷子になった話からしますか?」

「それは遊園地の話ではないから却下ね」

「でもリスナーさんは聞きたいと思いますよ? ねーリスナーさーん?」


コメント

:聞きたい!

:俺も!

:当たり前だよなぁ?

:ちゃみちゃん迷子は解釈一致

:その話を聞くために耳の感度を3000倍にしてきました。助けてください

:イルカさんかな?

:そんなレベルじゃないんだよなぁ

:お耳対〇忍ニキ助け求めてて草


「ね? 皆聞きたいって」

「くっ、愛すべきリスナーさんたちの為なら仕方ないわね、腹をくくったわ」

「ありがとうございます! それでは振り返っていきましょう!」



遊園地に行くことが決まった前日、富士竜アイランドまで東京駅の改札前で合流してから新幹線で行くことは決まっていたのだが、念のためちゃみちゃんに道は分かるのか聞いておくことにした。

返事は「もう、私が何年東京で暮らしてると思ってるの? 目を閉じてでも到着できるわ」と言っていたので安心していたのだが……

ほぼ毎日配信している身なので、リスナーさんたちに旅行中のお休みを告知した後、いよいよ迎えた当日――

♪――――♪


「ん?」


既に新幹線に乗る準備を完了し、発車まで時間が十分余っていたので富士竜アイランドのいいスポットでも調べて時間を潰そうかなんて考えていた時、みちるちゃん(ちゃみちゃんの本名、身バレ対策で外では本名呼び)からの通話があった。


「もしもーし、どうしたの?」

「あ、もしもし、雪ちゃん聞いて? 私イザナミの術をかけられたみたいなの」

「……はい?」

「どこに行っても似たような景色なの。全く困ったものね」

「もしかしなくても迷子になりました?」

「い、いやね? だからイザナミの術に

「列車にすら乗ってないですよね? 駅の構内でどこ行けばいいか分からなくなったんでしょう?」

「はぃその通りです……助けて雪ちゃん~」

「あんなに自信満々に言ってたのはなんだったんですか……」

「よくよく考えれば確かに私東京で暮らして長いけど、家から出ないから駅なんて滅多に使わなかったわ」

「そんなのだからぽんこつちゃみちゃん略してぽっちゃんとか言われるんですよー」

「言われたことないわよ! でもかわいいからちょっとありかもしれないわね」

「まぁとりあえずなにか特徴的な目印がその辺にあったら教えてください、私がこのまま通話で案内するので」

「ありがとう! えっと、びっくりするほど背の高い方がいるわ」

「みちるちゃん……私はどう頑張ってもそれじゃ分からないよ……」


本当のところ正直予想していた範囲の出来事だったので、スムーズに案内も出来て出発前に合流し、新幹線に乗り込むことができた。


「本当に助かったわ。この駅は最早ダンジョンね」

「確かに初見だと分かるわけないですよね」

「難関をクリアした今、私は大きな達成感を感じているわ」

「まだ本来の目的に掠ってすらないですよ……」


隣に座ったみちるちゃんの姿は私なんかよりよっぽど大人びていて、例え私服であっても出来るキャリアウーマン感がムンムンなのだから、見た目で人を判断するのは早計なのだと改めて認識させられる。

まぁ私やちゃみちゃん推しのリスナーさんに言わせてもらえばこのギャップがたまらないんだけどね!

……てあれ? よく見るとちゃみちゃんの顔、少し違和感がないか? 


「みちるちゃん、もしかして疲れてます? 顔色が良くないような……」

「あ、メイクで誤魔化したつもりなんだけど分かっちゃった? 実は雪ちゃんとの遊園地が楽しみすぎて昨日から一睡もできてないの」

「到着まで時間あるから今すぐ寝なさい」

「そ、そんな! 今日の日の為に沢山新幹線会話デッキを用意してきたのに!」

「後で何時間でも聞いてあげるから寝なさい!」

「はーい……」



「みたいな感じのことがあったんですよ~」

「その節はご迷惑をおかけしました……」

「いえいえこんなの可愛いもんですよ。今思うと旅行全編通してちょっと抜けてる妹みたいな感じで見てました」

「私の方が年上なのに……」


コメント

:ちゃみちゃんらしさ全開で草

:ぽっちゃんすこ

:寝れないとか小学生かな?

:逆転姉妹シチュだいすこ

:俺もあわちゃんと旅行行きたい

:分かる。なんだかんだ一緒にいると楽しそう


「ず、ずっとぽんこつかましてたわけじゃないからね! これからのちゃみお姉さんの活躍にご期待あれ!」

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