ちょっと怖い話

狂言巡

雪城家の話

 少し昔の話。とある日曜日に、日食が起きた。昼間だというのに新月の夜の如き暗闇の中、雪城家の焦りの滲んだ声が響く。


「ユキがいない!」


 好奇心旺盛ではあるが、非常事態に単独行動に出る子供ではない。家中を引っ繰り返す勢いで探し回った結果、白雪は床下収納庫の中で寝ていた。


「変なのがきたから此処で隠れておいでって言われた。誰か覚えてないけど」


 発見に貢献したのは、兄が妹の服や髪飾りに仕込んでいた複数の発信機だったそうだ。

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