第6話 スライムって賢かったらチートなのかも…
大蟻を倒したスラオとスラスケはその残骸に集まっていた。
「スラオ、半分吸収していいぞ」
吸収していいって言われても………やり方知らないしまずもって、どういう感覚なのかの想像もつかないし。
「な、なあ。どうやるんだ?」
「やったことないのか? 覆いかぶさって吸収するだけだぞ」
いやー、そんな当たり前のように言われても、体を引き伸ばす感覚もわかんないし。感覚は人間のままだしなー。
「ええっと。こう? か? あれ? できた」
できてしまった。意外にも簡単に。体を引き伸ばす感覚ってこんなんなんだな。人間だったからなんとも言えない感覚だ。きっと腕が伸びるやつとか、首が伸びる例の妖怪とかも、こんな感覚なんだろうな。
「お前スライムのくせに吸収の感覚がわからないなんておかしなやつだな」
「20年もやらなかったら忘れるのも仕方ないだろ………多分」
元人間だなんて言っても信じないだろうしな。
「そんなもんなのか? まいいか」
大雑把で助かる。吸収はなんてゆうか、座薬を鼻から入れられるような感覚に近いな。それ以外近い表現が思いつかない。あ、別に痛くはない。感覚がそう言った感じなだけだ。
「吸収したらどうなるんだ?」
「追加で経験値もらえるし、あとは、体力のストックになるな」
「なるほど、じゃあ任意で好きな時に食べたものをMPやHPに変換できるってわけなんだ」
「そんな感じだ」
魔物って便利だな。スライムだけか? まいいや。ステータスに書いていない能力もあるんだなー。あれ? スライムって実はチートなんじゃね?
「ストックできる容量は限られてるから気をつけろよ」
「どのくらいなんだ?」
「んー限界はわからんなー、今のところは34回HPとMP満タンにできるくらい溜まってるかな」
え? まじでチートじゃね? てかなんでそんな能力あるのに冒険者に負けるんだよ。
「なんでそんなに貯めれるのに人間に負けるんだ?」
「そりゃ、一撃だからだろ? 出ていくヤツらはみんな勘違いした弱いやつだからな」
あぁ、なるほど。そういうわけか。
「そうなんだなー、だったら、僕たちは負けないな!」
「確かにそうだな! お前がいたら強いやつにも勝てる気がする」
「なぁ、この当たりでいちばん弱い魔王見てみない?」
「大丈夫か?」
「大丈夫だよ。僕がいるから!」
「魔王には近づくなってスライムの里でも当たり前のように言われてることだぞ?」
「大丈夫! ちょっとステータス覗くだけだから!」
「そこまで言うなら………」
そんな会話をしながら
「草木が生い茂ってて進みにくいなー」
ガサガサと雑草をかき分けながら進む2匹のスライム。
「仕方ないよ。こうでもしなきゃ見つかって殺されるからね」
「まぁそうだな。 あっ、あそこにまた
「ちょうどいいや、レベル上げに倒そう」
森の中の少し開けた場所に1匹でいた
「よし、今だ!」
前回と同じように2匹は毒霧を吐く。そして蟻はしばらくして動かなくなった。
チャリン。
チャリン。
チャリン。
チャリン。
チャリン。
レベルが5つも上がった。今Lv8だったかな? さっきのやつよりレベルが高かったんだな。ラッキーだ。
「順調だなー、こんな簡単に倒せるんならベチスライムの時から森に出ても良かったんじゃないか?」
「んー、まぁ念には念をだよ」
「なんだそれ?」
あ、そうかそういう言葉はなかったな。
「あ、はは。まぁいいから! とりあえず倒した蟻吸収しよう」
「だな!」
相変わらず大雑把で助かるな………。
2匹は大蟻をたいらげた。
どれくらいのストックでどの程度回復するのかあとで確かめとかないとな。ちょっとステータス見てみるか。
種族『トゲスライム』
Lv8 ♂ スラオ
進化まで後Lv17
HP: 26 MP: 14
攻撃力: 17
守備力: 37
素早さ: 13
魔法耐性: 7
特技 無し
スキル 毒霧 硬化 撃進
個体特性 トゲ
特殊技能 無限成長
称号 転生者・超晩成型・進化者・変態
おお! ステータスかなり上がってる! 変異種はステータスの上がりも早いんだな。これなら肉弾戦であの蟻共に負けることも無さそうだ。
晩成型なだけあってまだ少しステータスの上がりは遅いけどこれからどんどん早くなるんだろうなぁ。どこまで強くなれるか楽しみだ!
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