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 また、父は仕事で法人営業をずっとしてきたこともあり、取引先などから弔問に訪れる人が多かった。戸沢鉄工所の戸沢社長や駅のそばを通る国道沿いにあるカラオケ屋「ドレミのソラ」の社長である西明寺社長など、地元の会社の社長や、自営業者の人など、町内から続々とやってきた。おかげで弔問帳は一冊では足りず、二冊目を急遽用意しなくてはならなかった。

 通夜と葬儀などは、父が仕事でお世話になった小ヶ田葬儀社の小ヶ田社長が直々にやってきて、部下にあれこれと指示をして切り盛りする運びとなっていた。

 弔問客への挨拶は、本来であれば喪主の母が務めるところだが、父の死のショックで自室にこもってしまった。そのため、俺と妹が交代で受付と焼香場となったリビングに入った。もちろん、小ヶ田葬儀社の社員の人も手伝ってくれた。


(続く)

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