(二)

 もともと父は、大手都市銀行の銀行員だった。法人営業一筋であったと聞いていた。三〇代半ばで崎玉県川居町を中心に展開しているグループ企業の川居信用金庫に出向となった。それ以来ずっとこの信金に勤めてきた。一時は副頭取にまで上り詰めたものの「現場の仕事がしたい」と社長に直訴し、四年前から川居駅前支店に異動させてもらい、勤めていたのだった。そんな中で父が倒れ、副支店長の小渕さんが父の自宅に連絡してきたのだった。


(続く)

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