第5話 友達の裏技

課外が始まった。

とは言っても、資格の勉強みたいなもので、取得することがメインとなっている、内容は第二種電気工事士、今いる部屋は電気機械科のパソコン室、だが工業高校ではない、普通高校併設の工業系学科、志願者として普通科から工業系の資格を取るために学科を超えて課外を受けている。

「では始めます」

30秒ほど遅刻したが、いのりのおかけでばれていない。

「これは何という器具ですか?」

早速、実物を使って問題を出してきた、明らかにコンセントだが、、、

「では政元さん答えてください」

公開処刑されるように女子生徒が立たされた。

「コンセントです、、、あぁ、いや、埋込型コンセントです」

いちいちややこしい実物で問題を出してくるとは面倒な担当者だが、次に指名されてしまった。

「では問題です、これから接地工事を行います、金属製外箱を有する100Vの電動機、、、洗濯機に施工します、接地抵抗を何オーム以下にしなければいけないでしょうか?、では高野さん答えてください」

突然、難易度を上げてきたが、いのりから質問された「京さん、漏電遮断機の有無についての質問をお願いします」

言われたとおりに質問すると感心したように返された。

「地絡を感知した場合に0.5秒以内に電路を遮断できる機器を取り付けています」

するといのりから答えが帰ってきた。

「答えは500オームです」

いのりから言われたとおりに答えると正解だった。

同じような問題がこの後の人にも2問出されたが全員が正解し、それから30分が過ぎて課外が終わった。

「マジ助かった」

スマートフォンを取り出して画面を見ると照れ臭そうにモジモジとするいのりが立っていた。

「あのぉ~申し上げにくいことではありますが、この服、皆様に見られるのが、少し恥ずかしいです」

しばらく考えて一つ提案してきた。

「京さん、近くの女子生徒の服を360度撮影できませんか?こちらでモデルを生成したいです」

盗撮を求めてくるが当然だがそんなことはできないため、提案を提案で返した。

「俺がデザインしても?」

するといのりは顔を赤くしてどこか緊張した様子で息が上がって、「はぁい、お願いしますっ」と言った。

数時間後、授業が終わり部活が始まった。

所属しているのはロボット工学部だ、複数の班に分かれて、設計、製造、プログラム等、に分かれていて俺はプログラムを担当している。

普通科の学生が工業系部活動に所属するのは珍しいことだが、進んで入ったわけではなく、いわゆる引き抜きだ、本来は美術部だが、6ヶ月前に作ったアプリのおかげで4月に引き抜かれた。

そのアプリが無ければパソコンを買うことも出来ず、いのりとの出会いも無かった。

部室に行くと先輩達が燃えがっていた。

「あと少し早く、せめて5秒早く」

昨年は全国大会準優勝、13連覇で止まってしまった、今年は奪還の年、顧問の先生たちもおそろしく気合いが入っていた。

「高野くん、自律機のプログラム変えれる?」

そこにいのりがイヤホンで割り込んで来た。

「任せてください、自律機にハッキング機能を付けて、ボコボコにしてやりましょう」

当然ながらその案は大会規則の電波発信の禁止に該当するため「却下」だった。

「私も手伝いたいです、なんでもいいのでやらせてください」

しばらく考えて出た答えは情報の収集と分析による戦術の策定だった。

「では少しお邪魔してきます」

そう言って画面から消えた。




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