25.銀鶏館での会議
「セラシア王女。──どうして、ここが?」
「"輪"の魔術師が持つ強い
セラシアは
「──そちらの方、
「は、はい。──何なりと、セラシア王女」
セラシアに呼ばれたナフィーは、
「少しの間、席を外して頂けませんこと? こちらのお二人と、話がしたいんですの」
「わ、分かりました」
ナフィーはクウに心配そうな視線を送ると、ゆっくりと部屋から出て行った。
セラシアは空いていた部屋の椅子に、音を立てずに座る。
「──もしや、お
「
「お父様に代わり、深く謝罪いたしますわ。──お父様の持つ白の"輪"、"
セラシアは椅子から立ち、深々とフェナに頭を下げる。フェナは
「フェナさん、
「……
「なるほど。そうなんですのね」
セラシアはクウを見る。意見を求めているような目だった。
「フェナがもし先代の王様を手にかけていたとしたら、僕とノコノコと宮殿に来るなんて、
「
セラシアはあっさりとクウに同意する。
「しかし、お父様の方はそう思ってはいない様ですの。お父様はあの直後、"白の騎士団"達にこう命じましたわ。──ウルゼキアから緑の領域へと至る、全ての道を封鎖せよ。その上で、宮殿から逃亡した二人組の男女を捕らえよ、と」
「緑の領域……? つまりジョンラス王は、僕がエルフの村に逃走する可能性を考えて、それを阻止しようと──?」
「そういう事ですわ。──お父様は、クウさんとフェナさんは"黒の騎士団"が自分を
「そんな……。あり
セラシアは残念そうな顔で、首を左右に振る。
「今のお父様は、実の娘である私から見ても、正気を失っているとしか思えませんわ。だからこそ
セラシアはそこで急に言葉を切り、背後を向く。──部屋の隅に、紫色の亜空間が発生していた。
「こんな所にいたのか、クウ。……どういう事だ? アンタは……セラシア王女か。それに、
亜空間から、ソウが現れた。
驚くセラシアに軽く
「起こった事を簡単に話すよ。──ソウと別れた後、フェナと会ったんだ。僕達を追って来てたのはフェナで、結果的に僕はフェナを
「それで、宮殿があんなザマになってたって訳か。──名君として名高いジョンラス王が、そんな事するとはな。
「でも事実なんだ。ジョンラス王は僕とフェナを捕らえる様に"白の騎士団"に命令して、今も街中を捜索してるみたいなんだよ。──ジョンラス王の攻撃でフェナが負傷してる事もあって、今は自由に動けないんだ」
「俺が白の騎士団の連中に
ソウはそこで、セラシアを見る。
「ああ、そう言やあ
相棒という表現に、クウは少しだけ──
「ソウさん、ですのね。──あなたにもご迷惑をお掛けした様で、申し訳ございませんわ」
「別にアンタのせいじゃねえさ。──いや、待てよ。良く考えたらアンタ、"白の騎士団"の司令官じゃねえか。おいクウ、こりゃマズいんじゃねえのか?」
クウに意見を求めるソウに、セラシア自身が答える。
「ご
「セラシア王女──私達を信じてくれるというの?」
フェナが、自分を手で示しながら聞く。
「
「つまり、"白の騎士団"の司令官という立場として、僕らに
「父の行動を問い
セラシアの眼には、ある種の覚悟の様なものが感じられた。
「今の私がすべき事と言えば、まずは皆さんを──"白の領域"の外に逃がす
「そうですよね。ジョンラス王に追われる立場となれば、とてもこのままウルゼキアにはいられないか……」
「おいおい。ちょっと待てよ、クウ」
会話に水を差したのは、ソウだった。
「どうしてお前が出て行かなきゃならねえ? ──お前はイルトに来たばっかで、先代の王殺しなんぞとは無関係だってのは明白だろうが。事と
「それは難しいと思うよ。ジョンラス王の
「俺は難しいとは思わねえよ。ジョンラス王の態度を改められる
そう言ってソウが指差したのは──クウの腕を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます