3日目

朝起きたら知らない天井でしたね。知らないし、めっちゃぼろい。

使い古されたコトバだけど、実際に遭遇するとつらい。

夢の中で寝て起きたよ。夢は見なかったなあ。不思議な感覚だ。


「さて、これからどうする?」


銀杏くんはもう目が覚めていたようだ。

どうするも何も…考えてなかったなぁ。


「とりあえず仲間を探そうぜ。もしかしたら俺たち以外にもゾンビじゃないヤツがいるかもしれん。」

「あと、武器防具欲しいね。ゾンビに襲われっぱなしはいやだよ。」


二人は台所から数本の包丁を見つけていた。


「とりあえずコイツでグサッといこう。」

「うわぁ、グロそう。」


実際遭遇しても、うまく刺せるか不安でしかない。


~~~~昼過ぎ~~~~



彼らは家の近くに大きな町があることに気づき、警戒しながら向かった。


「遠くから見るより大きな町だな。ゾンビに気を付けながら探検しよう!」


さっそく一匹のゾンビ?が近寄ってきた。スーツを着ているので、元はきっとサラリーマンだったんだろうな・・・ 


「ふんッ」


グサッ!!!

間髪入れず銀杏くんが包丁を胸に差し込む。飛び散る血。

いやああああ、コレ、コメディラノベ目指してるのに、ダメだよ血はああああ。


えぐい!ゲームと違って血しぶきやばい!ちょ、手にくっついたんですけど!

ばっちい!この倒し方やばい!


「倒さないと殺されてまたどっかに飛ばされるぞ。頑張ってくれ。」

「うう…」


ふんっと僕も一振りする。

手に肉が刺さる感触がする。

早く目が覚めないかな。。。



ヒュッと目の前を何かが通過した。

なんだろうと目で追う。

矢じりだった。


「ここで何をしている!」


声がするほうに向きなおる。


すでに銀杏くんが手を挙げて話しかけようとしていた。


「すまないが迷子なんだ。助けてほしい。」


「どこから来た。」

革のフードにバンダナで口元を隠している。

声色からは女の人?かと思われる。


銀杏くんに倣って手を挙げる。

「ここより東の方から来たんだ。何も持ってない。食料と水が欲しい。なんとかならないか。」


コトバは通じてるみたいだ。


「いいだろう、ついてこい」


案外話は早くついた。

どこへ連れていかれるんだろう。


「(逃げられる準備はしておけよ。)」

「(おk。わかったよ)」


「何もしないよ。どうせ誰もいないしね。」

少し声に優しさが帯びた気がした。


「銀杏だ。よろしく頼むぜ。」

「たかしです。よろしくです。」


「コトミだ。呼び捨てでいい。私しか生きてるやつはいないと思っていた。」


フードをっとるとばさりと明るい茶髪が風になびいた。


「ほかの人はもういないのか?」

「いなくはないのかもしれない。でもここ10年近くは一人でいるね。」


うは~、そんな長い間一人でいたら気が狂いそうだ。


「ついたぞ。」


教会っぽい造りの二階に案内された。


「神父はいないのか?」

「シンプ?なんだそれは?」


ペットボトルに入った水と缶詰を分けてもらう。

飲みながら銀杏くんが続けて質問した。


「この世界はどうしてゾンビがいるんだ。いつからこうなった?」

「ゾンビ?あの死体のことか?人間は死ぬと。詳しいことは知らない。」


コトミを注視する。頭の上に【コトミ】と書いてある。

どうやらパーティ申請はできないようだった。


「このあとどうする?人間を見たのは久しぶりだ。それに知らないことも知ってるようだ。今日はここに泊まっていかないか?」


ありがたい申し出だったので、3人で夜を明かすことにした。


コトミと銀杏は夜遅くまで何か話しているようだったが、僕は疲れてすぐに眠りに入ってしまっていた。


続く。




















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る