第34話 結婚が決まった
それから数日が経った。改めて加奈と一緒に正式に結婚指輪を買いに行く事になった。ブライダル専門店へと足を運び、加奈に選んでもらった。
「じゃあこれがいい」
加奈が選んだ結婚指輪は、十二万円の結婚指輪だった。
「えっ?そんなのでいいの?俺、五十万円くらい覚悟してたんだけど」
「いいよ。結婚指輪なんてそんな高いのいらないよ。それよりも浮いたお金を新婚旅行とか結婚式の資金にしたりしようよ」
「あはは。現実的だな」
「私は現実的な女だよ」
どうやらこれは、金銭感覚のしっかりした良い奥さんになってくれそうだ。
それから加奈の両親に結婚報告の挨拶に行った。
「僕達、結婚する事になりました。近いうちに籍を入れます」
「そうですか。智也君、加奈の事をよろしくお願いします」
「はい」
加奈のお父さんは、結婚の報告を受けて、俺に加奈の事をよろしくお願いしますと頭を下げてくれた。
「智也君。加奈をもらってくれてありがとうね。早く孫の顔が見たいわ」
「あはは。頑張ります」
加奈のお母さんにも祝福された。
それから数日が経ち、俺は実家に加奈を連れて行った。
「父さん。母さん。俺、この人と結婚するよ」
父さんは……
「そうか……。お前が決めた人なら俺は何も言わん。お前ももう三十路を越えてるんだ。お前のやりたいようにやればいい」
と言っただけだった。
母さんは、うれし泣きをした。
加奈に何度もありがとう、ありがとうと言うので、とても恥ずかしかった。
「智也、良かったわね。こんな良い人に出会えて。私、心配してたのよ」
と、俺に何度も良かったわねと言った。
そして後日、俺は加奈と一緒に市役所に行って婚姻届けを提出した。
こうして俺と加奈は、夫婦になった。
それは、俺と加奈が出会ってから半年の出来事だった。
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