第32話 風邪でダウン
朝は、寒気がして目が覚めた。
なんだか体が重いし、顔が火照っている気がする。
体温計を探し出して熱を測る。
熱は38.6度もあった。
「うわ……。マ、マジかよ……。しんどいはずだ」
どこで風邪を引いたんだろう。考えてみると心当たりがあるのは、風神雷神コースターに乗った時の水神の水しぶきを思いっきり被った時だろうか。あれで濡れたままの状態でずっと遊んでいたから風邪を引いたのかもしれない。うん、多分きっとそうだ。俺は、職場に連絡して仕事を休むことにした。これがもしも万が一、ウイルス性で施設の利用者の体の弱いおじいちゃんやおばあちゃんに風邪を移してしまったら大変な事になる。だからこういう時は、完全に治るまできちんと休まなければならない。
しかし参ったな……。頭が重いし、喉も痛い。なんとか病院に行って薬をもらってこようと思ったが、タイミングが悪い事に今日は、近所の内科は休診日だ。遠出して病院に行くには、体力的にしんどい。今日一日休んでまだ熱が下がらないようなら明日病院に行こう。とにかく今は、寝よう。しんどくて食欲もなく、何も食べる気にならなかった。
それから一日中寝ていた。さすがに何も食べないのもダメなんじゃないかと思い、フラフラになりながら近所のコンビニに行って、プリンと栄養ドリンクと熱冷ましシートを買ってきた。固形物は、喉が痛くてとてもじゃないけど食べられそうにない。
栄養ドリンクとプリンを流し込み、熱冷ましシートをおでこに貼ってまた眠った。明日になると熱下がってるといいなと思いながら、そのまま寝て過ごした。
次の日になった。相変わらず熱はあり、まだ喉も痛かった。仕事は今日も欠勤すると連絡を入れて、朝一番の診察時間に近所の内科へ行った。やはりただの風邪だと診断された。フラフラしながら家に帰って来て、また熱冷ましシートをおでこに貼って栄養ドリンクとプリンを口から流し込んで眠っていた。
しばらく眠っていると、スマホの通知音がして目が覚めた。
画面を見ると加奈からだった。
「風邪大丈夫?」
「うん。朝一番に病院に行ったよ。やっぱり風邪だった。薬貰って飲んで寝てる」
「ご飯は?ちゃんと食べてる?」
「昨日からプリンと栄養ドリンクしか口に入れてない」
「ええ!?ちゃんと栄養取らないとだめだよ。仕事終わったら智也君の部屋行くね」
「来ちゃダメだ。加奈に風邪が移ったら大変だろ」
「だって智也君。ろくなもの食べてないじゃない。おじや作ってあげるよ」
「いいよ。栄養ドリンクとプリン食べたし」
「だめだよ。玄関の鍵だけ開けて寝ててよ。仕事終わりに行くからね」
有無を言わさない感じで、加奈が部屋にやってくる事になった。
しばらく寝ていると玄関のドアが開いた。
「智也君。入るよ?」
「うん」
俺はベッドで寝た状態のまま、加奈に返事をした。
「体の具合どう?」
「少しはマシになったよ。熱も37.8度まで下がった」
「まだあるね。キッチン借りるね。おじや作るよ」
加奈がおじやを作ってくれた。弱っている時に献身的に看病してくれる加奈を見て、俺には、やっぱりこの人しかいないと感じた。
この子となら一生やっていける気がする。
俺、決めた。風邪が治ったら加奈にプロポーズしよう。
おじやは、久しぶりのご飯でとても美味しかった。
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