どうして雨の中、ここで待ってたの?
君との約束に少し遅れてしまいそうな僕は、雨に濡れる電車の中で一人、焦りを感じていた。
車窓は、雨に濡れて外がよく見えなかった。それが、異世界へ行っているように感じられた。
駅について急いで電車を降りた僕は、改札を抜けると、すぐに彼女の姿を探した。雨が降っているから、彼女は屋根のあるここで待っているはずだと思った。だけれど、彼女はいなかった。
息を整えながら、周りを見ると、傘をさしながらスマホを触っている女の人がいた。彼女だった。
傘をさして、彼女のもとへ行き、声をかけると、彼女は少し驚いてから返事をしてくれた。遅れたことを謝ってから、僕は疑問に思ったことを聞いた。
「どうして雨の中、ここで待ってたの?」
「だって、いつもここで待ち合わせしてるじゃん。場所を変えちゃったら、会えないかなって」
そう言って微笑む彼女に、僕は心を打たれてなにも言えなくなったんだ。
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