エピソード16


 「ねえ、僕たち結婚しない?」


突然言われた一言に固まってしまった。


「あのー結婚はまだぁ、早いんじゃ、ないかな?それに歳離れてるし」


そう理由を申したが一歩もカインは引く気が無い。しかも森子は癒物と人間が結婚できないという制度を知らない。癒物は一応動物扱いなのだ。 


 と、その時ほっぺにキスをされた。


「あっ、ちょっとやめて下さい」私は働いてた頃のセクハラを思い出した。


「クックルーの羽のもふもふも心地良いけど僕のもふもふも気持ちいいんだよ」


確かに猫耳と猫尻尾はもふもふしてて触るとふわふわしてる。


私は猫耳を撫でてやった。これで満足かなと思ったのだが、尻尾も触ってと左右にらしている。


「ねえ、僕ともっと気持ちいいこと、しない?」


それが何なのかいち早く察した。殴るのは良くないと思ったのでさっと布団を被り、無視した。


 そして眠りに就いた。



翌朝。朝日が窓から射し込んでいる。

目覚めがいい。羽毛のもふもふも質感を保っている。


「カインは寝てないの?それと私が寝てる間に変なことしなかったでしょうねっ!」


カインは私より早く起きていた。


「癒物は寝なくても大丈夫なんだ。森ちゃん、寝ちゃったから何もしてないよ。見守ってただけ」


「そう、なら良かった」


起き上がると食卓に美味しそうなご飯が乗っていた。フランスパンにとろとろチーズが乗っている。シリアルの牛乳かけもある。そして、トマトジュースだ。


「これ全部カインが作ったの?」


「そうだよ」


「すごいね」


そうして、朝食を食べ終えた。


「着替えなくていいの?」


「森子ちゃんが?それとも僕が?」


「私」


「服持ってきてるの?」


「持ってない」


「それはただの僕へのご褒美かな」


言ってる自分が恥ずかしくなった。寝起きだからか。


「何でもないわ。早くオズさんの所へ戦果報告行きましょ」


「あ、ちなみにオズの一糸纏いっしまとわぬ姿も一緒にお風呂入らせてもらった事あるから見たことあるよ。僕、まだ小さかったけど。記憶に残ってる」


「どうでもいい」


私はそういうのに一切興味が無い。


「それに上流貴族の自室や寝室にも行った事あるよ」


私はカインの自慢に怒りや不満感を覚えていた。


「オズやアルドやシルクやレオンやアレクとも寝た事あったなー」


「さっきから自慢ウザイ!!」言ってしまった。


「ウザイ……とはどういう意味?」


「そのままの意味よ」


この小屋を出て、数分歩いた。あとはカインの案内通りに歩いた。


そして、オズさんらしき人が見えたのでそこで止まった。




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