遠くから音きこえ

右のピアノ、左のバイオリン

それぞれ違う曲を弾くものだから

不協和音

僕は耳を塞げない


不協和音が好きだと思いました

僕は、それで満足でした

いつのまにやら

ギィィ、ギィィと鳴るバイオリン

バァン、バァンと鳴るピアノ

もう曲でなくなったのを知りました


家々の壊れる音に耳塞ぐ

膝を抱えて蹲る

あんなに下手でも好きだった

弦が切れて、音外れ

家は燃えてぼうぼうと


焦がれた音は焦げた音

ちりちり、ぼうぼう、がらがら

僕は間にいるだけで

なにもしませんでした

熱い、熱い、じりじり、と

そういう家になったのです


僕は焼かれてしまいます

押されて、ぐらつき、けほり

けほ、けほ、ぼこ、ぼこ

僕は死んでしまいます


僕は水に流されました

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