繭・初恋・糸・二人・繭

真綿でくるまれた教室で

夕陽を浴びて弾けるピアノ

知らない旋律響かせて


真綿の中に小さな真綿

その中にピアノがあった

ただただ響く弦の音

曲の名前が分からない


掻き分け

そぅと覗いてみれば

誰かがピアノの前に座っている


その空間は美しく

白い真綿に包まれて

揺れる体と多忙な指

ただただ音を響かせる


ゆらりと真綿が揺れたなら

音は沈みに綿は糸に

どこも見ていないと思うていたら

演者の瞳がこちらを向いた


大きな真綿の中の綿

さらに真綿の中に糸

暮れの放課後の糸はらり

紡がれそうなの音の部屋

二人の繭がつくられる

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