第1部 フェイク・シック

第1話 噂

 「なぁなぁかいとぉ!この町の噂知ってるか!?」


 この一言一言大袈裟に手を動かしながら必死に話しているこいつは滝原たきはら 冴靴さえと、中学からの仲で騒がしい性格だが何故か正反対の性格の自分と気が合い、同じ近場のそんなに偏差値の高くないこの高校に入ってからも仲良くしている。


 「噂?この冴鳥町かろうちょうに?」


 自慢ではないがこの冴鳥町は薬局やコンビニなどは少しあるが、一番大きな建物は神社だって言うほど何にもないど田舎である。


 「どーせ 近所に超絶美少女が引っ越して来たー とかだろ?」

 「俺がそんな話し持ってくると思ってぇんのか!?」

 「うん」


 即決


 「ひでぇなぁ・・・」


 その程度の話しだろうとしか思えない。こいつが前言っていた噂は 隣のクラスの山田の飼ってる猫が生まれたー とかだったし、その又違う日は 担任が今日風邪で休むらしいよー など、それはもはや〔噂〕ではなく〔事実〕。天然の所がある前科犯だ。

 だがその日の話はいつもと違った。


 「3丁目に赤阪商店街あかさしょうてんがいてあるだろ?そこに最近店が出来たんだけどさ、誰も建設されていた事に気付かなかったらしいんだよ。」


 「そ、それがどうかしたのか?」


 さえとの話にしては面白い話だと、自分は続けて話を聞く事にした。


 「それで俺の親があそこの商店街で店やってるじゃん?それで親が挨拶してこいって言うからさ、怖いけど強がって見に行ったんだよ。その店を」


 「うんうん」


 見に行ったんなら噂では無いだろう、と思いつつもここで話しを止めるのは流石に悪いだろうと気にせず頷いた。


 「その店が・・・」


 するとその時突然後ろに無重力空間で噴出される空気並みの力で引っ張られた。

 


 


 





 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る