【オンライン】381話:魅了とは敵も味方も虜にしてこそ⑧
〈意外と、足場はしっかりしてるんだね。もうちょっと不安定な感じだと思ってた〉
「何言ってるのよ、本番の場所では不安定よ。あぁ、ちょっと違うわね、足場はしっかりしてるだろうけど、風に煽られたりして態勢は不安定になり易いから気を付けなさい」
渓谷の谷間でやるんだから風の影響がどれ程なのかっていうのは、まだ頭になかったな。
「調べてきたけど、偶に突風が吹き荒れるみたいよ」
〈ステージは作ってる最中なんだよね〉
「今はステージを固定して足場に細工を施してる所でござるな。ラコスの方でも信頼できる者達を選抜してボウガ殿達が率先して作業を急いでくれているでござる」
僕等の安全性も考えて、他にも色々な仕掛けを舞台自体に組み込もうって事でボウガさんやエーコーさんに協力して貰っている。
元々、公演自体は妨害してくるだろうっていう情報も得ているので、その人達に対抗すると同時に、ラコス国内で上手く敵の情報と僕等の味方をしてくれるように、ちょっとした情報を組み合わせながら広める方法を考えていかないといけない。
情報関係はミカさん達が筆頭になって、出店関係から市民達に誘導できる仕組みを考えてくれている。
急がなくても良いのにと思いつつも、そこまで皆の力を借りているなら中途半端な事は出来ないな。もうちょっと個人練習もしながら、ケリアさんが作ってくれた服も少しは使いこなせるようにならないと。
「ケリアん、服の能力って合わせて? ……組み合わせの魔法は出来たりするのかな?」
「ん~、多分出来るとは思うわ。ただ、自分で作っておいてなんだけど、その服はまだ生まれたばかりのモノだから、私自身もどいう事が出来るかっているのは試してみないと分からないのよ。その辺も含めて皆には頑張ってもらいたいわ」
ケリアさんがハートや星を出しながら踊っている。
「ねぇケリアさん? どうして貴方はそんなにエフェクトモーションが出せるの?」
確かに僕等も同じ性能の服を着ているとに、ケリアさんみたいには出せない。
「これはテンションじゃなくて、モーションだからよ。仕組みは内緒だけど、ちょっとした仕草や連動する動きなんかで出せるようになってるのよ」
ケリアさん、それはもう殆ど教えてしまっている様な気がするんだけど。僕がそう思いながら見ていると、ケリアさんはウィンクをして返してきた。
「私達のも同じように出来てる?」
「少し違うわよ。ステージ特化にしてあるから曲や歌に連動する感じなの。シュネーちゃんやガウちゃん達は動きで出るけどね」
〈そうなると……ティフォ、頑張ってね〉
「おいやめろ、更に負担が物凄くデカくなった気がする」
実際にティフォの負担は大きいと思うけどね、ケリアさんの話からすると、テンションと歌い方で服の能力が発動するんだからね。
〈あ、シュネー。トラップの演出に少し変更したい部分があるんだけど〉
「ん~どの部分かな?」
盛り上がりそうな部分で直接的に僕等に攻撃が飛んできた時の対処として。
何時でも防御に回せるトラップを残しておくことを考えておかないと、ちょっと不味いかもしれない。
足場が無くなってしまうと僕等は数秒の間は格好の的だろう。
そのタイミングだけは自分達で退けないといけない。
足場に細工を施して、守る様にしたとしても発動までにはどうしても時間が掛かる。
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