【オンライン】370話:勝ちを掴む為の一歩目②
「ラコスを牛耳っておる者達を追い出し、大門を開けさせて新天地に打って出るのは良いけどよ。その後ってどうするんだ?」
〈傀儡王さんが暴走してくれれば良いんだけど、向こうが動くまでは同じ感じでグランスコートに協力してくれる人達をどんどん増やそうと思うってる〉
続けていけば僕等に与したいと、ラコスみたいに取り込む感じで広げていくしか、今の所は手がないのだから仕方がない。もうちょっと手段を選べる事が出来れば良いんだけどね。
無いものいくら欲しても無意味だろう。
下手に色目を見てしまったら僕等が負けてしまう。
今までやって来た事が無駄になるのは絶対に嫌だ。
「ボク達が出向いて何かするのはアリかな」
〈やる事にもよるけど? なにをするつもり?〉
「それは、今から考える」
思い付きでの発言だった訳だね。シュネーらしいけど、もうちょっと考えてから発言して欲しかった。まぁそういう発言の御蔭で助かる事があるんだけど。
「拙者達が守れる範囲で頼むでござるよ」
「それは分かってるよ。ボクだってスノーを危ない目にあわせたくないもん」
シュネーが何を考えてくるかは不安だけど、任せてみよう。
僕には無い発想で面白い事を考えてくれるかもしれない。
「防衛の方は落ち着いてきたのか?」
「そうですね、諦めてはいないようですが、流石にこのまま続けていても不利になると悟った様でして、こちらに来る者達は最低限の人数になっていました」
「質の悪い嘘で混乱を招こうとしていたみたいですけどね、住民達にコテンパにされていました。警備の人達からも厳重に処すという事で、お任せしています」
〈なんか信仰心が高くて怖いけど、大丈夫だよね〉
「まぁ民の心を魅了していると思えば良いんじゃないか」
ティフォが僕から目を逸らしながら言う。ただ気になるのは、ティフォの表情だ、絶対に何か知っていそうな顔をしていたのが物凄く気になる。
ジッと眺めながら、ティフォと視線を合わせようとするのだが、絶対にこっちを向いてくれない。僕が回り込んでも、また違う方向を見てしまう。
〈何か知ってるよね?〉
「何も知らん」
「いやいや、そんな顔をしていて目も合わせてくれないなんて、絶対に何か知っていますって言ってるようなものだってば」
シュネーもティフォの態度が気になりだして、僕と挟み撃ちで聞き出そうとする。
助けを求める様にガウの方へと視線が移動したのを見逃さない。
〈ガウさん……貴方も何か知ってるのかな?〉
「い、いや……知らないでござるよ」
この二人はグルなのかな? 主犯ではないだろうけど絶対に何か隠してる事は一目瞭然なので、ここは素直に助けを借りる事にしよう。
チラッとカミルさんとアンさんの方を見ると、すぐに頷いて答えてくれる。
「心拍数や心音から見ても嘘ですね」
「早く喋っちゃった方が楽になりますよ」
カミルさんが水晶を出してきて、二人に握らせると嘘の色を示す薄い赤色が渦巻いている。アンさんの能力とマジックアイテムで簡単に二人の嘘が暴かれてしまったようだ。
「正直に話さないと、お仕置きするよ~」
「あ~もう、分かった。降参だ……その~前に音姉が来ただろう」
サーカス団のイベントでは確かにあったね。
それがどうしたのだろうと首を傾げる。
「次なる計画を立てていて……その、親衛隊を育成中なのでござるよ」
「親衛隊、別にお姉様に協力してくれる人たちなら別に良いんじゃないの?」
シュネーが言いたい事を代わりに言ってくれたので、僕も同じだというよに頷く。
「いや、シャープ先輩の親衛隊ではござらん」
そう言いながら、チラッと僕とシュネーのことをガウが見て来た。
〈え? 僕達の親衛隊?〉
二人が気まずそうに、頷いた。
「アイドル計画が、立ち上がってるんだとよ」
「拙者達は止めようとしたのでござるが……伏兵が多くてどうにも手出しが出来ないでござるよ。もう、実行段階へと移行するかもしれないんだな」
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