【オンライン】341話:町の様子と変わりよう⑤




 グランスコートで生まれるモンスター達にも色んな所で変化が起きている。


 分かり易いのは、僕の所で生まれているウサギさん達だろう。農業特化、防衛部隊、工作ウサギなんてぐわいに、枝分かれして進化している。


 町中の警備を担当するウサギさん生まれているのだが、住民達からは鑑賞というか、ペット扱いされている様で、皆に可愛がられている。元々が愛くるしい容姿で、グランスコート全体ではマスコット的な存在になっている。


 警備担当のウサギさん達はモフモフの丸い毛玉みたいで、防御特化で尚且つテレパシー的なスキルも使えるようで、近くに居る仲間を呼べるというモノだ。


「わっ! こ~ら、順番にブラシをかけてげるから待ってよ」


 今回も羨ましい事にティフォが小さなモフモフなウサギさん達に囲まれている。


「はいはい、スノーには僕が居るでしょう」


 何時ものやり取りになってしまったが、シュネーが僕の肩に乗って擦り寄ってくる。

 それを真似てか、最近はお留守番が多かったニンフィも僕の膝に乗って甘えてくる。


〈……あれ? 少し成長した?〉


「ニンフィ? 確かに大きくなった気がするね」

「ふぃ?」


 本人は気付いてないみたいだけど、明らかに大きくなっている。


〈シュネー、家の隣にある泉って調べてないよね?〉


「見てないね。もしかしたら、花も大きくなってるんじゃないかな?」

「あそこは今やカミルさんとアンさん達の憩いの場になってるからな」

「エーコーさんも遊びに来るしね」


 モフモフの丸玉に囲まれて嬉しそうにしているティフォを妬ましく見ながらも、僕はニンフィの柔らかさとあったかさに癒される。


 家の近くにあった泉は、妖精達や精霊達の安らぎ場として扱われている。

 大きくなった家の庭には畑区間とモンスター達が気兼ねなく遊べる区間を作った。


 トレーニングも出来るし、温泉もある。ただ遊べる様に遊具だって色々な種類を用意したのだ。今ではカミルさんとアンさんがモンスター達とじゃれつく場所になりつつある。


 ボウガさんの所に居るモンスター達にも変化があって、浄化特化と町を照らして夜の警備を担当するライトスライムなんてヤツも出始めている。


 レベルやランクが上がって、自然と町の助けになってくれているモンスターが数多く居るが、その子達の多くは解体屋さん達が見てくれているので、任せようと思う。


 魔物達の協力を得て、布も作れるよになってきているし、食べ物だって充実し始めている。


〈問題は、住民や魔物達の住む場所を改善かな……そうすると、流石にポイントだけじゃあ資源が足りなくなってくるかもしれないね〉


「そういう事だろうと思って、準備していたものがあるでござるよ」

「どこ行ってたのガウッち?」


「まぁこれを見て欲しいでござるよ。前に行った鉱山付近に良い岩場があるでござるから、そこまでのアクセスと、我等が先にその場所で石切りなどの設備を作って置いた方が良いでござろう。パニア殿にもお世話になりっぱなしでござるからな」


 鉄も必要だし、確かに次に行くべき場所は、そこなのかもしれないね。


「流石に俺達だけじゃあ不安だから、ケリアさんと。後はスズメ達にも協力を頼まないとな」

「ミカさんは良いの?」


〈今は忙しいんじゃあないかな? 最近は情報整理だって言ってたしね〉





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る