【オンライン】193話:女の子が三人も集まれば姦しい




 ラコスの街で拠点クリスタルに触れていないため、まだ転移が出来ずに歩いてエーコーさんの泉まで帰る事になった。泉に着いたらすぐにテレポートしてグランスコート村に戻り、中央都市までの道は馬車に乗って移動した。


 城下町の始まりの泉に行くと、女の子三人組が説明書を開きながら色々と相談しているようだった。三人で読み合わせている感じだ。


〈ごめんね~、待たせたかな?〉


 僕がコメントを送って手を振ると、三人が一斉に此方を向いた。目に焼き付けるかのように、目を見開いて見られたせいで体がビックリとして少しだけ跳ねてしまった。


「生のスノーちゃんを見れて最高です。こっちではスズメだから、よろしくね」


 握手しようと手を伸ばしたのかと思ったら、思いっきり抱き着かれて抱擁される。


 リアルの小鳥ちゃんとあんまり変わらない。髪の色は金髪で長いツインテールのふんわりとした感じのくせっけの強い髪だ。背中には大きな弓を背負い、矢筒を腰に下げたホットパンツのスラッとした綺麗な生足をしている。


「次は私の番?」


 葉月ちゃんはお人形さんみたいに綺麗な小顔で、フレアースカートを穿いている。後ろ腰にはホルスターをクロスして付け、大きなリボルバーが二丁を下げている。


「右は譲ってよね」


 黒を基準にしたローブに、とんがり帽子を被った魔女っ娘学生っぽい衣装なのだが、左腰にはカードケースみたいなホルスターが三つと、ウエストポーチを付けている。


「随分と色物パーティーね~。武器はタロットに銃器、巨大弓ねぇ~」


〈え? 弓は普通なのでは?〉


「そうだな、見た目は普通だな」


「折り畳み式になってるね~。確かに開いてみると大きそうだよ」


 シュネーが飛んでいって、弓の部分を全体的にじっくりと見ながら言う。


「良く見てみるんだなスノー姫よ、折りたたまれた弓なんだな。アレは開くと地面に刺さってバリスタみたいな大きい弓になるんでござるよ」


 確かに良く見てみると、弦が少し緩んでいる気がする。


「まぁ、近距離になると小太刀の二刀流で戦うから問題なし」


 グッと親指を立てて、良い笑顔を見せてくれるスズメちゃん。


「前に出る気かよ、回避と力、それに器用度に全部りしたんじゃないだろうな」


 つまり防御力に影響するステータスはからっきしという事だ。


「防御なんて装備に任せれば良いじゃん? 攻撃が最大の防御って言うでしょう」


〈スズメの装備だと、弓だけで一杯一杯なんじゃない?〉


 回避メインで動くとなると、忍び装束みたいな軽い服装になる。


 丁度、いまスズメが着ている半袖と短パンにスニーカーと言った感じで、後は弓の重さで動きが決まるので、それ以上の重さがある防具を付けてしまうと回避に影響が出てしまい、ただタコ殴りにされて、速攻で死亡する未来しか見えないだろう。


「まぁスノーちゃんに戦い方は任せれば良いかな。頑張って私を上手く使ってね」


「あ~、ズルいよ。早く変わって」


「もう私達の番、しばらくスズメはユキ成分はお預け?」


 すぐさま双子が割って入って、僕とスズメを引き離した。すぐに二人がくっ付いてきて両側からガードする様に邪魔しだした。


「此処はボクの特等席だから、譲れません」


 ドヤ顔で頭の上からシュネーが三人に自慢するように胸を張って言う。


 三人からジト目で睨まれて、僕にダメージが無いようにシュネーを引き剥がそうとするけれど、ヒラヒラと躱して、すぐに僕の頭の上に戻ってくる。


「ふふん♪ まだまだだね」


 経験を積んだ分のステータス上昇で、今日に始めたばかりの三人にはシュネーを捉える事が出来ない様子だった。


 何気に僕等も強くなってるんだな。


 あんまり意識して自分のパラメーターを見ないから、上がっている分が分からなかった。




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