18

アパレル関係で働く明日美は、“可憐の一大事だわ”と、上から下までコーディネートしてくれた。

ありがたいやら気恥ずかしいやらで、胸がむずむずする。


「それにしても、可憐から好きになるって珍しいね。」


道すがら、明日美がからかうように言う。

そうなんだ。

私は今まで誰かに告白をしたことがない。

本意ではないけれど、図面管理課のアイドルなんて言われるように、学生時代からちやほやしてくれる男性は結構いて、告白されることの方が圧倒的に多かった。

可愛いなんて言われなれちゃってときめきもしない。

いつも受け身でろくな恋愛をしてこなかった私が初めてアプローチをしようとするのだから、明日美も興味津々みたいだ。


「そんなにかっこいいの?」


「うん、かっこいい。顔も声も。」


「えー楽しみ!」


更に優しく微笑まれちゃったら、私はきっと撃沈する。

ああ、もう、想像しただけでドキドキしちゃう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る