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上位種会議

 お前も見ていた方がいいだろうとヴァンパイアの中でも地位の高い叔父に連れられ、参加させられたのは上位種会議。最低でも年に一回は行われるそれは、参加者からの評判がものすごく悪い。


 上位種は「人の国」から離れた場所にテリトリーを持つ。年一とはいえ、いちいちくるのが面倒くさいと、毎年エルフと鬼は飽きずに文句をいう。竜種はあたり前のように遅刻するし、最悪こない。ならば開催地を毎年変えるかという話になれば、さらに距離が遠くなる。なぜ自分たちのテリトリーに他種を招かねばならないと別の非難が上がる。


 勝手気ままな上位種たち。ヴァンパイアは傲慢だとか言われるが、他の種族だって負けてはいない。どころか文句をいいながら面倒ごとをこなしているヴァンパイアはもっと讃えられるべきだろう。


 上位種会議は開催するのも大変だが、進行するのも大変だ。竜種は基本的に興味がないので、茶菓子をつまむか寝ているか。しまいには後は任せたと堂々と部屋を出て行く。協力的な態度に見える妖狐は隙あらばいたずらを仕掛けてくる。鬼はとにかく短気ですぐキレるし、エルフは帰りたいという態度を隠しもしない。


 ただ喧嘩するだけの会議に意味があるのか。そうヴェイセルは思う。それでもこれは続けなければいけないのだという。歴史を繰り返さないために。今は無理でもいつか歩みよる日がくる未来を祈り、絶やしてはいけないのだと叔父はいつになく真面目な顔で語っていた。


 しかし、そんな叔父もいつのまにかエルフとの言い合いが激化し、子供みたいな喧嘩がはじまっている。どちらが美しい種かと言われたらもちろんヴァンパイアだとヴェイセルも答えるが、今はそんなことを喧嘩する時間ではない。


 歩み寄る未来はまだまだ遠そうだと、ヴェイセルはため息を吐き出した。

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