第684話 誰が

散歩をしていた時、うっかり転んでしまい、その衝撃でメガネを落としてしまった


眼鏡なしの視力は0.01以下と、ほとんど見えない状態だ。周りに何かあるというのは分かるが、それが何かが分からない


転んだだけなので、そんな遠くに眼鏡が飛んで行ったという事も無いだろう。しかし、見つからない


すると、誰かが横を通り過ぎた気がした。ぼやけて男性か女性かも分からないが、大きさは分かるのでおそらく大人だろう


「すみません、眼鏡を探してもらえますか?」


人に頼るのは好きではないが、このままでは眼鏡が見つかりそうにないので頼んでみた。返事は無いが、周りをうろうろしているのでおそらく探してくれているのだろう


自分自身でもそれっぽい色の所を手探りで探す


「あ、あった」


やはり、そんな遠くにいっていなかった。1mほど離れたところに落ちていただけのようだ


「見つかりました。ありがとう……」


探してくれた人に、眼鏡をかけながらお礼を言おうとして、姿が見えないことに気が付いた


一瞬でどこかに隠れるような場所も無い


あれは、見えてたらなんだったのだろうか

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