第592話 目が悪い

最近、年のせいか目が悪くなった




これが老眼と言うやつだろうか?




まだ、老眼鏡も持っていないのに




しかし、自分が年を取ったという事に納得していない自分がいて、なかなか老眼鏡を買いに行くことができていない




新聞を読むのにも苦労するようになってきた




その新聞からはらりと落ちたチラシがあった




「飲むだけで目がよくなる薬か……」




サプリ的なものだろうか。1回目の購入は半額だし、ダメもとで試してみるか




数日後、玄関をたたく者がいた




「こんにちわー、お届け物です」




おそらく薬が届いたのだろう




玄関をあけると、帽子を深くかぶって顔が見えない男が立っていた




「こちらにサインをお願いします」




手帳のようなものを出してきたが、何も書かれていなかった




そして、それに気を取られた瞬間、頭になにか固いもので殴られた感触があった




「おまえも目が悪いんだろう? 残念だったな、顔を覚えられなくて」




しばらく気絶していたようだ。頭が痛いが、たんこぶが出来ているだけで死ぬほどではなさそうだ




そして、家からは金品が盗まれていた




しかし、数日後、犯人はあっさり捕まった




顔は分からなくても、自分の教え子の声は覚えていたからだ




「それにしてもあいつ、目が悪くて先生の顔も見えていなかったのか……」


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