第476話 シルエット

病院に入院していた時の事です




私は、家で気を失ったらしく、気が付いたら病院のベッドの上でした




これまでの状況は看護婦さんに聞きました




検査をして異常がなければ、退院だそうです




ただ、脳に異常があった場合は即入院で手術になりそうですが




時刻は既に夕刻。ほぼ丸1日寝ていたようで、家族も私の容態が安定したと聞いてすでに帰宅したそうです




一応、入院の準備をしてまた来ると言っていたそうです




検査の結果、私の体に異常がなく、入院する必要も無いという事なので家族には明日迎えに来てくれと伝えました




ふと、隣のベッドが気になりました




2人部屋のもう片方は、窓側にあるベッドです




間にカーテンをひけるものの、今は誰も居ないので直接外が見えます




もうすぐ沈む夕日が見えたので、カーテンを閉めました




すると、そのカーテンに人影が映ったような気がしました




髪の長い女性のシルエット……その瞬間、私の頭が痛みました




「なにか……」




私は、一瞬だけ脳裏に気絶する前の記憶が浮かびました




どこか歩いていて、後ろを振り向いた時、女性が……




その瞬間、私の体はビクリとしました。後ろに何かいる……そんな気配がします




「はぁ、はぁ、はぁ」




私の動悸は激しくなり、呼吸は荒く、汗がでます




振り向きたい……しかし、振り向いたら……




すると、カーテンが自動的にするすると閉まり始めました




そして、白いカーテンに黒い人型のシルエットが……




ピリリリリ




携帯を切るのを忘れていたようです。私の携帯が鳴ると、とたんに周囲の空気が変わりました




画面には、妻の名前が浮かんでいました




「た、助かった……」




私は、携帯を手に取り耳に当てます




「本当に?」




私の意識は、そこで途切れました

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