第451話 屋上で
学校の屋上で歌の練習をしていた
屋上にはフェンスが張ってあり、落下防止になっている
また、ここへは特に何も無いので基本的には誰も居ない
なので、放課後に歌の練習をするのにもってこいだった
屋上へ行くのに職員室の前を通るので、不良なんかも基本的には寄り付かないし
まだ練習中でうまくないので、誰も居ない事を確認した
鉄製の扉を開けて、誰も登ってきてない事も確認した
そして、歌う。1番目の歌を歌い終わった時、バタンと扉が閉まった
びっくりして振り向く。そして、ノブをガチャリとするも、鍵が閉められていた
「居ます! 私はまだ屋上に居ます!」
鍵を閉めたのが先生なら、まだ階段に居るはずだ。まさか、不良の嫌がらせ……? それとも、さっきの扉を閉めた音は一応人が居るかどうか見たって事? 扉を開けてすぐ前に居たのに……
そんな思いをしながらも、ドアをドンドンと叩くが、反応が無い
「開けて! ねぇ、開けてよ!」
きりが無いのでフェンスの方から誰か居ないか探すことにした
すると、ちょうど真下からこちらを見ている生徒と目が合った
「ねぇ、そこの君! 扉を開けてくれない?」
見たことは無いが、この学校の制服を着ているから部外者では無いだろう
しかし、その生徒は「ニヤリ」とした気がした。屋上と下では遠すぎて表情なんて見えないはずなのに
そして10秒ほど経って「バンッ」と扉に何かがぶつかる音がした
まさか、もう着いたの? そんなわけない。人間が10秒で4階の階段を登れるはずがない
私は嫌な予感がした。昔、ここにフェンスが張られる前にあった事故の事を思い出した
なぜ今まで忘れていたのだろうか。ここでいじめにあって「度胸試しだ」と屋上ぎりぎりに立たされ、運悪く強く風がふいて落下した生徒の事を。だから、それいらいフェンスは張られるし、屋上へ行くものが誰か居ないか職員室で見張れるようになったのに……
「バンッ、バンッ」
扉は尚叩かれる。私は扉から離れるようにジリッと後ろに下がる
「おい、そこに誰か居るのか?」
意外にも、扉から聞こえてきたのは先生の声だった
「い、います! 開けてください!」
そう言った瞬間、扉は開いた。そして、先生は驚いた顔をする
「早くこっちへ来い! 急げ!」
よくわからないけど、急いで先生の元へ向かった
私が中へ入ると、先生は扉を閉めて鍵をしめる。すると、「バンッ」と扉に何かがぶつかる音がした
「危なかったな。嫌な予感がして来てみれば……鍵は開いてるのに扉は開かないからヒヤリとした。それに、いざ扉が開いてみてみれば、フェンスの先に血だらけの生徒が見えたからな」
私の後ろのフェンス越しに血だらけの生徒がいたなんて……
それ以来、屋上は立ち入り禁止となった
でも、急にそんな霊が現れるなんて……もしかして私の歌のせい?
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