第440話 よくある話
ある高校の修学旅行があった時の事だ
京都の方へ1泊2日での旅行だったらしい
その時、たまたま同じ旅館で違う学校の生徒も来ていた
県外の旅行にテンションの上がっていた生徒達は、すぐに違う学校の生徒と仲良くなった
そして、大広間に集まってやることと言えば……怪談話だったらしい
9月とはいえ、まだ暑い時期、それぞれの学校にある怪談話をしていたらしい
雰囲気を出すために、部屋の電気を消して、ロウソクを使う訳にはいかないのでスマホの画面の明かりだけを頼りに
集まっていたのは10人くらいだったろうか
一人、また一人と怪談を話す
体育館に出る幽霊……階段の上でほほ笑む少女……鏡に映る悪魔……プールに住む幽霊など……
「俺のする話は本当の事だから、覚悟しておけよ?」
そう言ってある少年が話し始めた
「これは、ある修学旅行生が怪談をしていた時のことだ」
色々と思わせぶりなころと言いながらも、最後はこうしめくくる
「この中に、誰も知らない奴が一人混じっているんだ」
そこで、急に部屋の電気が点いた
「うわっ」「きゃーっ!」
びっくりして何人かの生徒がパニックを起こす
「こら、早く寝ろ! 他校の生徒は帰りなさい!」
犯人は見回りの先生だった
みんなしぶしぶ自分の部屋へ帰っていく
「ちぇっ、これからビビらせるところだったのに……」
話していた少年は残念がる
しかたなく、寝ようとしいてあった布団を見ると、すべての布団に生徒が入っていた
「あれ? 俺の布団は?」
見ると、すべての布団が膨らんでいる
冷房が効きすぎているせいか、みんな首元まで布団をかぶっていて誰が誰か分からない
「っと、先にトイレに行っとくか」
トイレから戻ってくると、布団が一つだけ空になっていた
結局、誰がそこに入っていたのかは分からないままだった
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