第347話 南京錠

近所に、ナンバー付きの南京錠が掛かった納屋がある




その家は空き家で、管理もされておらず庭は草だらけだ




子供たちにとっては、かくれんぼの格好の遊び場になっているが




その中で、錆びた南京錠が気になった子がいるようで、がちゃがちゃと適当に回している




「何してるんだ?」




「この中に、何が入ってるのかと思って」




3桁の番号なので、000~999の1000通りだ。地道にやっていけばそのうち開くだろう




「何か思いつく番号とかあるか?」




「ぞろ目とかどう? 同じ番号を3ついれるやつ」




どうせ時間はいくらでもあるので、最初は3つとも同時に回す。




000、はずれ、111、はずれ、222、はずれ、333はずれ




「やっぱり、そんな簡単な番号じゃないよ」




444、がちゃっと外れる




「……簡単な番号だったな。でも、よくこんな番号を選んで買うよな」




4とか9は普通に避ける番号ではあるし、ランダムで4が混じるならともかく、全部4というのは探したのか、特別に注文しないと無いだろう




おそるおそる納屋の扉を開ける




「勝手に開けるな!」




中から、70代くらいの老人が出てきて怒鳴ってきた




「ごめんなさい!」




皆、慌てて逃げた




ただ、後でそーっと戻ってきたところ、再び鍵は閉められていた




後で気が付いたことだが、あの老人はどうやって鍵のかかっている納屋へ入っていたのか、また、誰かに閉められたとしても、どうやって生きていたのかが分からないが、2度と開ける気は起きなかった


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