第271話 心臓移植
心臓移植をした
もともと心臓が悪く、ドナーを探していたのだが、やっと見つかり手術をした
手術はドナーが居るアメリカで行われた。アメリカでは保険が無いため、手術代として3千万かかった
「命が助かったのはいいが、これだけの借金をどうやって返していこうか……」
一応寄付を募ったが、数百万しか集まらなかった。いや、数百万でも大変ありがたい事は確かだ
だが、せっかく助かった命を借金苦で自殺なんてもったいない使い方をしたくない
するとその夜、夢を見た。どこか分からないが、アメリカの家らしい。ただ、ひどく懐かしく感じた
窓から見える風景を覚え、読めないが目についた看板を覚えた
目が覚めると、それをスケッチブックにどうしても写したくなった
すると、看護婦さんがその絵を見て、自分の実家の風景に似ていると教えてくれた
さらに、偶然なのか、心臓のドナーの家もそこにあるそうだ。提供者は原則秘密らしく、それ以上は教えてくれなかったが
退院後、さっそくそこへ行ってみることにした。あてもなくさまよっていると、夢に出てきた看板が目に入った
「ここは……来たことがある気がするぞ」
そして、夢に出てきた家があった。どうしようかと立ち止まっていると、近所の人なのか、話しかけてきた
「そこのおじさん、この間急に亡くなられたわよ。家族も親戚もいないみたいだし、この家もどうするのかしらね」
そう言って立ち去って行ったのを見送ると、その家に近づいた。そして、植木鉢の下の鍵を取り出して中へ入る
「俺は何で鍵の場所が分かったんだ?」
自分でも不思議な気持ちで家の中に入る。そして、金庫へ行き、番号を入力する
「俺は何で金庫の番号を知っているんだ……」
自分でも気持ち悪くなったが、体が自分の意志じゃないように動き、勝手に金庫の中を開ける
そこには、数千万はあるだろう札束と、遺書のようなものが入っていた
読めないので、スマホで翻訳してみる
「俺は絵が描きたかった。絵を描いてくれるなら、この財産を全てやる」
まるで、開けられるのが分かっていたかのような遺書にびっくりした
それから、俺はアメリカに移住し、絵を描いている
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