第172話 道を聞かれて
「すいません、ここへの行き方を知りたいのですが」
突然、知らない男性から話しかけられた
私は大学生が多く住んでいるアパートで独り暮らしをしている
「すみません。私もここへは来たばかりなので、その場所の住所すら分かりません」
そう答えると、その男性は急に表情を変えて「ちっ」と舌打ちをしました
私は怖くなってアパートへ急ぎました。すると、それを見ていたのか、若い女性が
「大丈夫? 知ってる人?」
と声を掛けてきました
「いいえ、知らない人で、道を聞かれただけなのですが……」
「一緒に行ってあげようか?」
女性はそう言うので、一緒にアパートへ着いてきて貰うことにしました
「ありがとうございました。」
私はお礼を言って、アパート前の自動販売機でコーヒーを買って渡しました
「ちなみに、どの部屋に住んでるの?」
「203号室です。」
私はそう言ってから、「あれ? 203は友達の部屋で、私の部屋は202号室だっけ?」と思いましたが、もう会う事は無いと思い訂正しませんでした
女性を見えなくなるまで見送ってから部屋に戻ると、私の部屋は202号室でした
その夜、隣の部屋に誰か訪ねて来たらしく、玄関先でもめているようです
私はそっと扉を開いて覗いてみると、帰ってくる途中に声を掛けてきた男性が見えました
私は静かに扉を閉めると、カギをかけて203号室の友達へ電話をかけました
すると、友達も「電話がかかってきたのでもういいですか?」と男性を追い払ったようです
私が「大丈夫?」と電話で話すと
「サンキュー、助かったよ。なんか、昼間と違う人? まあ君でもいいや見たいなことを言われてムッとしてたところだったんだよね」
私は、その男性とここまでついてきてくれた女性がグルだったことに気づき、ゾッとしました
その後、待ち伏せ等は無く、私は普通の学校生活を送ったのですが、友達とは数日前から連絡が取れなくなりました
警察も訪れる様になり、私も早く友達が見つかって欲しいと思います
警察官が電話で「隣の部屋だった」と言っていたのが気になります
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます