第124話 ワルキューレの魔界調査4
私はワルキューレ、女神ランクがあっという間にⅢまで上がったエリート女神だ・・・すまん、調子に乗った。昨日は四天王を倒したので、一旦調査を中断しラヴィ様と戻った。
そして今日、改めて魔王城の調査を再開したところだ。しかし……。
ワ「敵が見当たりませんね。」
ラ「油断しないで頂戴、どこに潜んでいるか、急に転移してくるか分からないのだから。」
ワ「そうですね、すみません。」
私は集中して魔王城の内部を調査する。私は透過が使えないので、隠し部屋探しや床下などはラヴィ様に任せ、一応透明化を使って敵に見つからないように調査している。敵に見つからないどころか敵が見つからないのだがな。
ラ「本当に、どこにも居ないようね。好都合だわ、今のうちにカイザーを倒しましょう。」
ワ「カ、カイザーですか?」
ラ「あなたは戦わなくていいわ。見ていなさい。」
見ているだけでも十分危険なのですが。万が一、流れ弾にでもあたったら即死だろう。
ラ「その時は、あとで蘇生してあげるわ。」
そうですか……。そんな気がしていたので観念していますが。
そして、私たちは敵に全く遭遇することなく謁見の間に着いた。
ラ「ここにも居ないようね、移動したのかしら?」
ワ「あとは、王座の間くらいでしょうか?」
下手に千里眼等を使うと自分たちの居場所がばれてしまうと思われるので、地道に探している。残るは王座の間と宝物殿くらいなので、居るとしたら王座の間だと思われる。
王座の間に着いた。しかし、そこすらもぬけの殻だった。
ラ「へんね、カイザーが逃げるとも思えないし……。」
ワ「敵が居なかったので、調査終了ですね!」
ラ「ワルキューレ、さすがに気が早いわよ。」
しかし、これでやっとこの調査から解放されると思うと笑顔にもなろうと言うものだ。何度この疲れで死なない体を恨んだ事か。精神を回復するスキルを誰か開発しないものだろうか。
すると、急にラヴィ様の顔が険しくなる。
ワ「すみません、がんばります!」
私の心を読んでまた何か言われるかと身構えると、ラヴィ様は首を左右に振った。
ラ「……ケルベロの気配が消えたわ。」
ワ「なっ、ケルベロ様が負けるなんて! 敵は誰ですか!」
ラ「分からないわ。でも、ケルベロの居た場所は分かるわ。ドラゴンの星よ。」
ワ「それは、零殿達が行っている場所では……。」
ラ「そうよ。そこで何か起きた様ね。とりあえず行ってみるわよ、転移!」
ラヴィ様が転移魔法を唱え、魔方陣が現れる。しかし、起動しなかった。
ラ「ちっ、ご丁寧に女神だけが転移出来ない結界が張られているわね。」
ワ「そんな事が出来るのですか?」
ラ「悔しいけど、ヴェリーヌくらいの力量があれば、敵だけ入れない結界を張ることも可能だわ。」
ビジネスホテルやダンジョンに張った我々も入れない結界より、さらに力量の要る結界らしい。しかし、これでは我々ではどうしようもない。
ラ「魔界の調査は一旦終了よ。いそいでダンジョンに戻るわよ。」
ワ「分かりました!」
こうして、私の魔界調査は終了した
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