第117話 ウロボロス

レ「なあ、白竜?」


白「なんだ?」


レ「もう少し早く移動できないのか?」




白竜の背に乗ったはいいが、白竜は徒歩での移動の為、正直自分で走った方が早い。




白「仕方ないだろう、ワシは今スキルが使えないのだ。」




そう、俺の復元が不完全なため、竜の力によるステータスアップも無い。しかし、白竜しか場所を知らないしな。仕方ない、融合させてみるか。俺はガーゴイルのコアを取り出すと、白竜の背に付ける。




レ「融合!」


白「なんだ?!」




白竜の背に、小さな翼が生える。しかし、飛行は物理的な現象じゃなくて、スキルによるものだからMPさえあれば巨体だろうが問題なく飛べるはずだ。まあ、ダメだったら白竜を小さく復元して自分で飛ぶが。




白「おぉ、飛べる、飛べるぞ!」




白竜は小さな翼をはためかせると、地平線が丸く見える高さまで飛ぶ。この高さから見るドラゴンの星は、自然が豊かで建物なんて全く見えない。一カ所だけ、黒く見える場所があった。




レ「あの黒いのは?」


白「あれがウロボロスの居る場所だな。恐らく、常に闇魔法でも使っているのではないか?」




ウロボロスは全身が黒らしいから、黒が好きなのか、それとも太陽の光に弱いのか。これで居場所が分かったので自分たちでも行けるが、白竜がうれしそうに飛行しているのでそのまま背中に乗って移動しようと思う。しかし、この背中、何も捕まるものが無くて危ないな。分裂体を弥生に変化してもらい、全員で座れる鞍の様なものにしてもらった。設置を終えると、白竜はスピードを上げてウロボロスの方へ向かう。


近づいても、闇魔法による隠ぺいの為か、暗闇の中は見通せない。誰も光魔法を使えないし、どうしようか。暗闇の手前で白竜から降り、白竜をコアに戻す。暗闇に手を入れても何の感触も無いが、顔を突っ込んでも何も見えないから光を全く通さない真闇なのだろうな。




レ「さて、どうやってウロボロスとご対面するか。」


ヤ「とりあえず攻撃してみますか?」


レ「いや、何があるか分からないから止めた方がいいと思うぞ。アヌビスは何か案は無いか?」


ア「我は闇魔法を使うが、解除の方法は本人の意思によるし、光魔法での相殺以外に外部から解く方法は知らないのじゃ。」




試しに火魔法の火を近くに寄せてみるが、効果は無いようだ。




ケ「なにをちんたらしているんだ? イルナ、冥府の鎌を使え。」




ケルベロちゃんはあーだこーだと言う時間にイライラしていたようで、解決策を提案する。




イ「・・・分かった、えいっ!」




イルナは鎌を巨大化させると、サクッと鎌で闇を切り裂いた。鎌に斬られた部分から徐々に闇が晴れていく。それを見てイルナは鎌を小さく戻す。半分ほど闇が晴れたところで、ウロボロスとみられるドラゴンが見えた。




ヤ「えっと、私の目が悪くなったんですかね?」


レ「言いたい事は分かるぞ、俺も目が悪くなったようだからな。」


イ「・・・すごく大きい。」


ア「我もこんな巨体は見たことが無いのじゃ。」




八岐大蛇もでかかったが、それと比べ物にならないくらい巨大だ。スカイツリーあたりにとぐろを巻けるんじゃないか? 一応、弥生は鑑定を行った。




ウロボロス(ドラゴン):HP130000、MP12400、攻撃力4000、防御力1800、素早さ2000、魔力4000、スキル:千里眼、異世界召喚、蘇生、物理耐性(小)、魔法耐性(小)、HP自動回復(中)、MP自動回復(小)、飛行、透過、火魔法(3)、水魔法(3)、木魔法(3)、土魔法(3)、闇魔法(6)、転移魔法、空間魔法(2)、時空魔法




ケ「こいつ、女神を喰いやがったな!!」




ケルベロちゃんは怒りで髪を逆立てる。ステータスを見ると、メィルと同じようなスキルを持っている事が分かる。すぐに手を出さないのは、こいつが9階のクリア対象だからだろうか。




ウ「やっと来たか。」




空気がビリビリと震える様な声でウロボロスがしゃべる。俺達は、戦闘に備えて構えた。


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