第104話 黒いコア
ケ「緊急連絡が着ましたワン。とりあえず、結界の中に早く入ってください、ワン。」
ケルベロちゃんはそう言うと、俺達の後ろに回り込んで中へ押し込んでいく。
ケ「ワルキューレは分かっているのかワン?」
ワ「え? 私には緊急連絡が着ていないのですが……。」
ケルベロちゃんは一瞬可哀そうな子を見るような目になったが、目を逸らすと、話も逸らした。
ケ「神界で大変な事が起きたそうだワン。だから、あたちがお前たちを守るワン。」
レ「ものすごくざっくりとしていて何が大変かわからんぞ!」
ケ「それはお前たちが知る必要はないワン。」
レ「ベルゼブブか?」
俺がカマをかけてそう言うと、ケルベロちゃんは目を見開いて驚いている。
ケ「違いますワン。」
違ったようだ。なら、なぜそんな驚いた顔をするんだ……。代わりに、またワルキューレが震えだした。ワルキューレに関係あるが、神界に関係の無いことか……わかんね。
俺達はケルベロちゃんに部屋に戻るように言われたので、部屋に戻る。当然のごとくワルキューレはケルベロちゃんの所だ。
レ「一体何があったんだろうな?」
ヤ「分かりませんけど、ラヴィ様が慌てるような事態ですからね。私たちが心配したところで手に負える気が全くしません!」
イ「……女神関係が相手なら、何もできない。」
ア「我が本来の力を取り戻せれば、何か手伝えるやもしれんのじゃが。」
レ「ワルキューレですらあんな感じだし、無理じゃね?」
ア「言い方と言うものがあるのじゃ! これだから零はダメなのじゃ!」
レ「何がダメなんだよ!? 初めていわれたわ!」
ア「そうなのか? いつも弥生が……」
ヤ「アヌビスちゃん、余計なことを言わなくていいから寝ましょうか?」
ア「眠くないのじゃ!」
ヤ「ね・ま・しょ・う?」
まだ飯も食っていないけど、アヌビスは弥生に連れて行かれた。イルナはどうしようか迷った結果、弥生たちの方へ着いて行った。
注文していないけど、ケルベロちゃんが「今日の晩飯だ!」と勝手にテーブルに料理を並べていったので、それぞれ好きなものを食べることにした。そのケルベロちゃんは分身の様なので、もしかしたらワルキューレと何かしているのかもしれない。明日になれば何かわかるだろうか。俺たちは普段通り時間を過ごし、アヌビスが闇の壁を張ったのを見て、大人しく眠った。
♦
時間を少し遡る
神界にて
マ「うーん、はじまる様からお預かりしたコアの解析が全然進みませんねぇ。上級神であるこの私、マリアの力を持ってすればどんな物でも一瞬で解析できると思ったのですけれど。」
マリアはGカップはあるであろう胸の下に手を組んで考える。
マ「はじまる様の話では、女神の誰かが封印されている可能性があるっておっしゃられたから傷つけ無いように大事に、慎重にと進めてきたのですけど、そろそろ何か進展が欲しいですわね。」
マリアは黒いコアをツンとつつくと、計測器に入れる。もう何日もいろいろな機械にかけているが、何の変化も無い。まるで、強固な封印がなされているようだ。
マ「このままでは私が無能呼ばわりされてしまうではありませんか。もう、中身を調べるよりもいっそ蘇生をして、マズければ再封印をしたほうが早いのではありませんか?」
マリアは独り言でそう言うと、それが一番の方法の様に思えてきた。マリアは悪戯をする子供みたいにキョロキョロと周りに誰も居ないことを確認する。神界へは、下級神以上のランクか、それらの神の許可が無いと入れないため、まずめったに誰かが居るということは無い。
ここで、はじまる様以外に会ったのは、数億年前じゃないだろうか。
マリアは黒いコアにそっと触れる。
マ「……いいよね? 蘇生!」
マリアは何があってもすぐに対応できるように構える。すると、黒いコアが黒い闇に隠れる。
マ「闇魔法? 光よ!」
マリアは光魔法で闇魔法を相殺すると、そこには何もなかった。
マ「あれ? 失敗? コアは?」
マリアはキョロキョロと周りを見る。そして、下界への魔方陣が起動するのが見えた。
マ「何かに逃げられた!? 大変だわ!」
マリアはすぐに緊急連絡を行う。そして、はじまる様にどう言い訳しようか考えるのだった……。
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