第80話 閑話 魔界
ラ「ワルキューレ、ちょっと来なさい。」
私の不用意な発言によってラヴィ様に連れて行かれる。
ワ「申し訳ありません!」
私は怒られる前に謝った。
ラ「その事はもう良いわ、魔界へ行くわよ。」
ワ「え? 説教では無いのですか?」
ラ「魔界に動きがあったの。そんな時間は無いわ。」
ダンジョン内では転移が出来なくなったため、わざわざダンジョンの外へ引きづってきたらしい。それならそうと口で言って欲しいものだ。
ラ「あの子たちの前でそんなこと言えるわけがないでしょう?」
ワ「え? 口に出していましたか?」
ラ「読心に決まっているじゃない。」
そうだった、ラヴィ様は心が読めるのだった。
ラヴィ様の転移によって魔界に着いた。魔界は、魔王が居なくなってから大分片付いたはずだが、今はそこら中に魔物があふれている。
ワ「これは?!魔王の消滅によって魔物も消滅したはずでは!」
ラ「カイザーのコアの行方は分かっていないわ。」
ワ「・・・誰かが魔王を復活させたと?」
ラ「その可能性は考えられるわ。最近の悪魔の出現率も異常よ。」
私もデーモンを倒したばかりだ。ラヴィ様が言うには、ラヴィ様もケルベロ様も悪魔を倒しているらしい。分身が相手したそうだが、悪魔は女神ランクⅡ相当だったみたいだ。今の私では一撃で死ぬだろう。
ワ「私で役に立てますでしょうか?」
ラ「今は猫の手も借りたいのよ。」
むむっ、そこまでひっ迫した状況だったとは。私もがんばらねば。
ワ「分かりました。まずは、どこをお調べしましょうか?」
ラ「あなた一人に任せる訳にもいかないから、私の分身を連れて行ってちょうだい。」
ラヴィ様はそう言うと、バニーガール姿のラヴィ様の分身が出来た。
ワ「よろしくお願いいたします!」
ラ「私は、もう一度祠のあった場所を調べに行くから、あなたは魔王城を調査して頂戴。」
ワ「分かりました!」
私は、ラヴィ様の転移で魔王城へ到着した。
魔王城には魔王の手下と思われる雑魚妖魔が山ほどいた。私には魔族と妖魔の区別はつかないが、そうそう魔族が居る訳も無いので妖魔と判断した。
ラ「邪魔ね。」
ラヴィ様はそう言うと、どこからかカードを出して投擲する。私にも見えない攻撃が、数百匹居た妖魔たちを一瞬でコアに変えた。
一番近くの部屋から順番に調べていく。中に居た雑魚妖魔は私でも余裕で倒せる強さだった。
ワ「やけに弱いですね?」
ラ「鑑定してみたけれど、どれもダンジョンで言うと2階か3階程度の強さしか無いわね。」
つまり、スライムかオーク程度の妖魔という事か。小部屋は調べ終え、王座の間に着いた。
リ「こんばんわぁ、ラヴィ様、ワルキューレ様。奇遇やね? どうされたんですか?」
ラ「リリス、あなたこそ何をしてるのかしら? 試験はどうしたの?」
リ「今日はもう終わりました。明日が休みなので、魔界で休養しようかと思いまして。」
ラ「もしかして、この妖魔たちは・・・。」
リ「魔王の居なくなったこの城を、うちの居城にしようと思って修理や片づけをさせていた家来ですけど・・・あぁ!うちの家来たちがコアに!」
リリスは王座の間の扉から見える範囲の妖魔がコアになっているのが見えてガーンと言う顔になった。
ラ「勝手な事をしないで頂戴! 魔王が復活したかもしれないというのに!」
リ「えぇ! それは堪忍なぁ。すぐに退去しますので・・・。」
カ「余の城で何をしている?」
ワ「誰だ!」
私でもわかるほどの強大な魔力を持った何かが近づいてくる。
リ「あれは・・・魔王はん?」
リリスが「嘘っ、マジや。」って顔をしている。
ラ「魔王・・・?鑑定。」
邪神カイザー(邪神):HP60億、MP55億、攻撃力7億、防御力3億、素早さ9億、魔力7億、スキル???、ステータス補正:攻撃力1.5倍、防御力1.5倍、素早さ1.5倍、魔力1.5倍
ラヴィ様は鑑定結果を私たちに伝えてくれた。
ワ「邪神だと!?」
リ「あかん、うち、もう・・・。」
リリスは恐怖のあまり気絶したようだ。邪魔だったのか、ラヴィ様がリリスをどこかへ転移させた。
ラ「なかなかのステータスね? どうしたのかしら?」
カ「ふんっ、勇者への恨みで甦ったと言うのはどうだ?」
カイザーはニヤリと口角を上げているので、まじめに答える気が無いのだろう。ステータス的にはラヴィ様と同等なので、私がここに居ても何の役にも立てそうもない。
ラ「一旦引くわよ。」
ラヴィ様も分身では分が悪いと思ったのか、逃げる隙を探している。
カ「余は逃げも隠れもせぬ。」
カイザーはそう言うと、ドカリと王座に座る。
ラヴィ様はそれを見ると、私を連れて本体の所へ転移した。
ラ「どうしたの?」
転移で戻ってきた私たちを見て、不思議な顔をしているが、分身を消して知識と取り込むと、青い顔をした。
ラ「まさか、邪神が復活したなんて・・・。すぐにはじまる様に報告しなければ!」
私は再び転移させられると、ビジネスホテルの前だった。
ラ「神界にはあなたを連れて行けないから、ここで終わりよ。ご苦労様。」
ラヴィ様は挨拶もそこそこに転移していった。
私は、いまさらながら、ラヴィ様と同等の敵が現れた事に疲れを感じ、部屋に戻った。
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