第65話 ダンジョン攻略11日目

ア「起きるのじゃ!」




アヌビスは俺の鳩尾にパンチしてくる。クリティカル発生、零に115ダメージ。




レ「ぐへっ、いきなり攻撃するな!」


ア「何度殴っても、ダメージ0だと起きないからじゃ!」




すでに起こそうとしたあとらしい。




レ「あー、そういえばみんなで寝るからって時計のアラーム切ったんだった。」




そう思って時計を見ると、まだ6時だった。




レ「いつもより早いじゃないか!何で起こすんだよ!」


ア「すでに皆が起きておるぞ?」




言われてみれば、見渡すとすでに闇の壁も解除され、布団が片付けられていた。皆はそれぞれの部屋に行っているみたいだ。




レ「くっ、共同生活の弊害がこんなところにも・・・。」


ア「早く、朝食の準備をするのじゃ!」


レ「とりあえず、着替えさせろ。」




俺は小部屋に戻ると、自分が着替えると同時に、アヌビスも着替えさせる。洗面所で歯磨きを終えると、皆が大部屋に集まっていた。




ヤ「おはようございます、源さん!」


イ「・・・おはようございまふ。」


ワ「おはよう。」


レ「おはよう、皆。」




イルナはまだ眠そうだな。アヌビスはすでに挨拶を終えたようで、いそいそとテーブルを用意していた。よし、朝食にするか。アヌビスは相変わらずのホットケーキで、俺は久々にサンドイッチとコーヒー、弥生は鮭定食に、イルナはハンバーグとコーンスープ、ワルキューレは何故かステーキを頼んだ。ご飯を美味しくいただいて、今日の予定を相談する。




レ「今日は6階に再戦でいいよな?」


ヤ「そうですね、万全の態勢です!」


ア「我はいつでも準備は良いぞ!」


イ「・・・がんばります。」


ワ「私は、ちょっと用事がある。今日はメィルに着いて行ってもらうがいい。」


レ「えー、あいつじゃもう足手まといだろ?」


メ「ひどい、お兄ちゃん! いつも陰ながら応援してるのに!」




いつの間に転移してきたのか、メィルがウルウルした目で見てくる。




レ「実際、何あってもメィルじゃ対処できないだろ?アヌビスより弱いんだし。」


メ「その時は、転移して誰か呼んであげるから!」


ヤ「たまにはいいじゃないですか。ワルキューレさんも基本的には手を出さないんですし。」


メ「そうだよ!もっといってやってお姉ちゃん!」


ア「ふっ、足手まといは要らぬ。」


メ「むきーっ、あんたには言われたくない!」




騒がしいやり取りがあったが、千里眼で見ているか近くで見ているかの差でしかないため、連れて行く。しかし、何で護衛を強化しようとした次の日にワルキューレが護衛から外れるんだ?




俺達がダンジョンへ入ると、ラヴィ様から声をかけられた。




ラ「昨日の襲撃の事もありますので、護衛を付けさせてください。」




ラヴィ様がそう言うと、カジノで見たバニーガール姿のラヴィ様が出てきた。




ラ「私のステータスの10分の1の分身です。仮にロキエルが来ても何とかなるでしょう。形無様、鑑定してみてください。」


ヤ「はい、鑑定!」




ラヴィ(分身):HP7億、MP5億、攻撃力3千万、防御力1千万、素早さ3億、魔力5千万、スキル???、装備:カード・攻撃力5千万。バニースーツ・防御力1億




レ「これなら、どんな悪魔が来ても怖くないぜ!」


ヤ「それ、フラグになったりしませんよね?」


レ「嫌なこと言うなよ。でも、ケルベロちゃんの10倍くらい強い分身だぞ?」


メ「これで仮にケルベロ様が襲ってきても大丈夫ですね!」


ラ「当然、メィルは護衛の対象外ですし、ワルキューレが居ない今日1日限りの措置ですけどね?」




ラヴィ様が念を押すと、メィルは「ひぃぃ」となげいていた。




再び6階に来ると、ガーゴイルが以前の場所に戻っている。




レ「今度は、イルナ頼むぞ!」




イルナはコクリとうなずくと、ネクロマンシーでスペクターを召喚した。メィルはフヨフヨと天井付近に浮いている。




ヤ「メィルちゃん、ここのモンスターは飛びますので、離れていると危ないですよ?」




メィルは「そうだった!」とラヴィ様の分身の側に隠れる。護衛対象じゃないから守られないかもしれないけどな?




俺は一番近くのガーゴイルにスラタン刀と叩きつける。ガーゴイルに0ダメージ。




レ「やっぱり俺の攻撃力じゃ無理か。」




攻撃を受けたガーゴイルが動き始めた。俺はスペクターを盾にする。ガーゴイルは、スペクターに噛みついた。スペクターに0ダメージ。噛んでも無駄だと悟ったガーゴイルは、火魔法を使った。スペクターに0ダメージ。




レ「よし、アヌビス、弥生、頼む。」


ア「任せるのじゃ!闇の球!」




アヌビスは闇の球をガーゴイルにぶつける。ガーゴイルに923ダメージ。




ヤ「じゃあ、とどめは私が!投擲武器操作!」




弥生は手裏剣を3つ投げると、カカカッとガーゴイルの頭、胸、銅に刺さる。ガーゴイルに450ダメージ×3。ガーゴイルはコアになった。




レ「この調子で頼む!」




俺達は複数体現れたガーゴイルに対しても、噛みつきは俺かスペクターが受け、魔法はアヌビスかスペクターが受けることによって、ダメージを負うことなく倒せた。調子よく進むと、新しく、ライオンとヤギの頭を持つモンスターが現れた。弥生が素早く鑑定をかける。




キメラ(合成獣):HP4000、MP1800、攻撃力500、防御力200、素早さ350、魔力350、スキル:飛行、MP自動回復(中)、火魔法(5)、風魔法(5)




キメラは俺に火魔法を、スペクターに風魔法を使ってきた。零に100ダメージ。スペクターに0ダメージ。




レ「魔法を同時に使えるのか! くそっメィルを盾にしたい!」


メ「私は関係ないよ!? と、透明化!」




メィルはとばっちりを受けたくないと、透明になって隠れたようだ。くそ、看破スキルを覚えたい。




イ「・・・幸い、ガーゴイルより少し強いくらい。スペクターで両方防げます。」




さすがに、首を伸ばさない限り同時に噛みつくことは無いだろ。魔法だけ気を付けることにする。




レ「そうだ、ゾンビアタック!」




キメラが噛みつくために近づいてきたことをいいことに、攻撃特化型零ゾンビを作ると、逆に噛みつかせる。キメラに200ダメージ。怒ったキメラがゾンビに噛みつく。攻撃特化型零ゾンビに500ダメージ。


噛みついたライオンの横から、ヤギが風魔法で風の刃をゾンビに当てる。攻撃特化型零ゾンビに350ダメージ。攻撃特化型零ゾンビは消滅した。


しかし、その隙を利用して、ワーウルフに変化した弥生が攻撃した。キメラに570ダメージ。狂ったようにキメラが火の玉と風の刃をあたりに飛ばしまくる。




メ「あわわわわ、危ないです!」




見えないが、メィルも巻き添えを食らいそうだったみたいだ。俺はスペクターの陰に、弥生はアヌビスの陰に隠れた。おそらくメィルはラヴィ様の陰に隠れただろう。ラヴィ様は飛んでくる風の刃をデコピンで消した。ラヴィに0ダメージ。




ヤ「やわらかいから、ガーゴイルより倒しやすいです!」




弥生は手裏剣を投擲武器操作で投げると、キメラの胴体に刺さった。キメラに990ダメージ。




ア「我もやるのじゃ! 闇の球!」




闇の球は口を開けたライオンの口に入ると、キメラはよろけた。キメラに873ダメージ。その隙に、弥生は腕輪を鞭状にしてキメラに巻き付けると、背中に乗ってクナイを刺した。キメラに570ダメージ。キメラは飛行して振り落とそうとするが、弥生は離れない。キメラは背中に手も魔法も届かないようだ。




ヤ「これで止めです!」




弥生は手裏剣を投擲武器操作でキメラのお尻の穴に刺す。クリティカル発生、キメラに2433ダメージ。




レ「結構なオーバーキルだな、弥生。」




見ているこっちの方が痛そうだった。




ヤ「だって、そこが一番攻撃しやすそうだったんです。あ、この手裏剣はもういりません。」




弥生はそう言うと、落ちていた手裏剣をアヌビスの魔法で消滅させてもらった。ところで、モンスターってトイレするのかね? ダンジョンにトイレはあるけど、モンスターが使用した形跡は無いんだよな。食事すらしてないだろうし。あ、答えは別に要りません。心を読めるラヴィ様が居ることを思い出して、心の中でそう断っておく。




レ「疲れたし、お昼も近いし、一旦戻らないか?」


皆「賛成!」


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