あしかせ

「会長、オレはこれで良かったのでしょうか?」

 休み時間に颯とバスケットボールを使ってゲームとも言い難い遊びに興じていると、颯が突然そんなことを言ってバスケットボールを俺にパスしてきた。

「良かったって言うのは、笑舞の事か?」

「はい。自分から言っておいてですけど、オレが笑舞の足枷になってないかと思って」

「足枷か」

 真面目な顔でそんなことを言う颯に俺はつい笑ってしまいそうになった。

「会長? 何で笑いを堪えているんです?」

「す、すまん。でも、颯が思っているほど心配する事は無いぞ」

「そうですか?」

 あまり自信が無さそうに告げる颯に俺は受け取ったボールを少し強めに颯に返した。

「おわっ!?」

「颯なら大丈夫だ。俺が保証する」

「は、はい! 会長の期待に応えられるようにオレ……頑張ります!」

 俺なんかが保証したところで何かが変わる訳ではないが、颯は失いかけていた自信を取り戻したようだった。



生徒会議事録

 颯さんがお世話になったと聞きました。会長、ありがとうございます。 笑舞

 感謝されるようなことはやってないけどな。 芹沢

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る