げきからぐみとせぱたくろー
「これからセパタクローをやります!」
「は?」
「セパタクローですか?」
放課後を迎えるなり突然ジャージ着用で体育館に集合するように言われたワタシと明日香先輩は呼びだし主である柚鈴先輩にそう告げられました。
「笑舞さん、セパタクローについて簡単に説明してもらえるかしら?」
「とても簡潔に説明するとしたら、手を使ってはいけないバレーボールと言ったところでしょうか」
「ありがとう。柚鈴さんには悪いけれど私は急用を思い出したから失礼するわ」
「ダメ~!」
最近の芸人さんが言っていたような気のする言い方で柚鈴先輩は震えながら体育館を出て行こうとする明日香先輩を引き留めました。
「アッスー、身体が震えているよ! もしかして……武者震い!」
「私の反応を見てそう思ったのならその目は節穴ね」
がっちりと手首を握られて逃げることを許してもらえなくなった明日香先輩は口では普段どおりでしたが身体はガタガタと震えていました。
「相手は女子サッカー部のようですが、本当にやるのですか?」
明日香先輩の震えがうつったのか、ワタシの身体も小刻みに震え始めました。震えの原因は言うまでもありませんが柚鈴先輩と女子サッカー部がボールを蹴り合って争う場に立たされているからでした。
「大丈夫、ここに居る人は誰も傷つけたりしないから」
信頼と不信感が同居する場面が存在することに驚いている間に柚鈴先輩と女子サッカー部は勝手に試合を開始しました。
試合は説明するまでもなく柚鈴先輩がたった一人で女子サッカー部のレギュラーメンバー三人と渡り合っていて、その間逃げることを許されなかったワタシと明日香先輩は今まで出したことが無いほど女性らしい悲鳴をあげながら時速140キロどころか時速180キロは出ているボールから必死に逃げまどっていました。
生徒会議事録
二人とも今日はありがとうね! とっても楽しかったからまたやろうね! 柚鈴
もう、二度と誘わないで下さい。 笑舞
海、手首を掴まれた時の振り解き方を教えて。次やられた時に実践するから。 明日香
何があったかわからないが、護身のためなら。 芹沢
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます