やすみのひのみさ
「美沙、宿題はもうやったの?」
ママは美沙に対して不安そうにそう言ってきました。
多くの人が長期休暇中に一度は言われたことがあるセリフではないかと美沙は思います。美沙が知る限りでは、海や明日香も夏休みや冬休みのたびに言われていたそうです。
一般的にその言葉に含まれている親の気持ちは、
『休みの後半に慌ててしまわないように宿題を進めてしまいなさい』
だと思いますが、福品家では違いました。
「ママ、心配しなくてももう終わったよ」
「はぁ、この子は全く。毎回夏休みや冬休みの初日に宿題を終わらせて残りの休みが暇で仕方が無いって泣きだすのは美沙なのよ」
福品家での『宿題はもうやったの?』という言葉は『宿題はまだ終わらせていないの?』ではなく『宿題はもう終わらせてしまったの?』という意味でした。
「今年は大丈夫! 生徒会もあるし、他にも予定がある……と思うから」
「本当? 休みの後半で泣いてもママはどこにも連れて行ってあげられないわよ」
「もう、美沙も高校二年生なんだから大丈夫だよ!」
美沙はママにそう反論しましたが、ママは美沙の言葉を信じているようには見えませんでした。
「それしても、最近の美沙は毎日が楽しそうね。これも生徒会……芹沢くんのおかげかしら?」
「う~ん……そうかもしれない」
美沙自身は今までと大きく変わった感覚はあまり感じませんでしたが、ママがそう言うのなら美沙は海という生徒会長と共に生徒会活動をしている内に楽しい毎日を過ごしているのかもしれないと思いました。
明日香 美沙。
明日香 どうしよう。
美沙 どうかしたの?
明日香 海が倒れた。
美沙 え? どういう事?
明日香 家で急に倒れて。
明日香 熱があるみたい。
美沙 取りあえず、病院に連れて行った方が良いよ。
明日香 救急車?
美沙 今、パパの車で向かうから落ち着いて。
美沙 海の家だよね?
明日香 うん。
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