いげん
「あぁ~ 緊張した!」
明才高校の今年度からの除雪に関して運動部の部長ほぼ全員を集めた緊急会議を終えて緊張の糸が切れた海は、この場に美沙しかいない事を良い事に机に突っ伏して弱々しい声で叫びました。
「お疲れ様。今までで一番生徒会長らしかったよ」
「だって、生徒会長だからな」
そう答えた海の姿はとても先ほどの会議に参加していた全運動部の部長に『会長の為ならお手伝いさせていただきます』と言われた人物とは別人のような威厳の無さでした。
「少なくとも今年は大丈夫そうだが、来年度以降のことも考えないとな」
「それは来年度の生徒会長が考えることじゃない?」
海がどのような答えを出すのか、予想は出来ていますが美沙はあえてそう言ってみることにしました。
「そんな無責任なこと出来る訳無いだろ。今年の結果次第だと来年は誰も参加してくれなくなるかもしれない。そうしたら来年度の生徒会が苦労をすることになる。もちろんそんなことにならないようにするつもりだが、万が一のことを考えて手を打っておくことも必要だ。違うか?」
「海は全然間違っていないよ。むしろ大正解だと美沙は思う。なら、どうするの?」
もし、前生徒会長の千景先輩に同じ質問をしてみたら咳払いをして『そんな事はもちろん決まっているさ、私がどうにかするよ。生徒会長だからね』と当たり前のように言うのが目に浮かびました。
でも、美沙が知りたいのは千景先輩を尊敬し、目標としている海の答えでした。
「そんなのもちろん決まっているだろ。美沙や柚鈴、七海に笑舞の意見を聞いて、悩んで、俺の最善策を決める。それが生徒会長だからな」
「わぁ、格好良い。こんな格好良い事をそんな恰好で言われたくなかったな」
明日香の好きな人でなければうっかり恋に落ちてしまいそうなほど格好良い台詞を言っていたのに机の上に突っ伏した姿のせいで台詞が台無しになってしまいました。
ただ、こんな姿ではありますが小学校から続いている児童会、生徒会役員生活の中で今ほど
生徒会議事録
会長、今日はお疲れ様でした。今回の会議はとても勉強になりました。 笑舞
海先輩の演説が無ければ今日の会議は成功しなかったと思います。ナナも会長を見習って精進したいと思います。 七海
今日の今日で来年の事まで考えるなんて海君はパワフルだね! 柚鈴
本日の会議で海さんの学校を思う熱い気持ちが私にもよく伝わりました。明才は生徒主体ですが、教師が何もしなくても良いという訳ではないと再認識しましたのでもう一度、職員会議で議論をしたいと思います。 小雨
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