第467話 秘められたワケ
その日の深夜。
大きな寝台の上で、俺は生まれたままの姿のオルタンシアに腕枕をしていた。
運動の後で汗ばんだ肌が、妙に色っぽい。
「種馬さま……自分は、本当にここから出られるんでしょうか?」
「出られるさ。女王がそう言ってただろ」
「はい……けど、女王さまが許しても、官僚達がそれを許すかどうかは、わかりません」
「ふーん? 暗躍する連中がいるってことか?」
「おそらくですけど……種馬さまを亡き者に、とか企てるかもしれないんです」
「はは。そりゃ上等だ」
女王の意思を無視するのかな。
あるいは、アルドリーゼは口ではああ言っていたが、本当の狙いは俺を殺すことなのかもしれないとか。
まぁ考えても仕方ない。確かめようがないもんな。
「けど、それなら襲ってこないのはなんでだろうな」
「え?」
「俺とオルたそがやってる最中に襲撃してこなかったのは、なんでだろうなって」
「……えっと」
顔を赤らめるオルタンシア。かわゆ。
「たしかに……」
「だろ?」
とはいえ、すんなりとここを出られる確証がない以上、ささっと脱出した方がいいかもな。
「よし。今から行こう」
「今から、ですか?」
「ああ。夜のうちにマッサ・ニャラブを出て亜人連邦に入る。形式だけでも女王の許可は下りてるんだ。問題はないさ」
というわけで、俺達は服を着る。
オルタンシアのエスニックな装いが超ベリーグッドだ。
俺達は互いに手を握り、部屋から出る。
だが。
「どこに行こうというのですか。聖母さま」
部屋の扉は、すでに十数の刺客に囲まれていた。
全員、剣とか槍でがっつり武装している。まじかよ。
「あ……」
さっと俺の後ろに隠れるオルタンシア。
「さぁ。部屋にお戻りください。救世神さまも」
刺客達はみんな若い女だ。ヒョウを思わせるしなやかな四肢。ビキニの上に布一枚を巻いているような服装は、オルタンシアと同じような感じだ。だが、鼻から下は布で覆っており、腕と脛には金属製の防具を装着している。
ジェルドの女戦士ってわけか。
「悪いが夜の散歩は外せない日課なんだ。邪魔しないでくれるか」
「その日課、命をかけるほどのものですか」
「とうぜん」
言いながら腰の剣に手をかける。
「俺にこいつを抜かせないでくれよ。オルたその同族を斬りたくはねぇ」
「見くびられたものだ。我々ジェルドの影を甘く見ない方がいい」
場は緊迫した。一触即発の雰囲気だ。
やる気だなこいつら。
「こいつを抜く前に、一つ聞いていいか?」
「なんだ」
「俺を殺す気なら、どうして俺とオルたそがやってる最中に襲わなかった?」
「っ! それはっ……!」
なんだこの反応は。なにか理由があるのか。
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