第12話 樹海を先導してくれる者とは…。 ※ミニスカートは目のやり場に困る

 樹海へと踏み入った“ゆうや御君様”一行は、樹海の摩訶不思議な植物に翻弄され

 ながらも、樹海の友好関係のものと会合するべく樹海を突き進む。


 〜○〜


 樹海に入ってどのくらい経つのだろうか。樹木に覆われた樹海の中は、薄暗く、

 為に昼なのか夜なのかさえも朧となる。


 “鴉天狗”の三重の警護の輪に護られているとはいえ、この独特の雰囲気には気

 が落ち着かない。


 僕さえもそうだから“みなみちゃん”も不安だろうと話すと、この濃密な酸素〜

 森林浴、森の癒しよ味わいなさい!“ゆうや”と上機嫌。そうか女子は森林浴や

 癒しが好きなんだと再認識した。


 そう言われると、僕も滅入った気分も晴れやかに変わった!ありがとう“

 みなみちゃん”!



 スーッと風が頬を凪いだ。


 すると、斥候に出ていた“鴉天狗”が横を歩きながら“ハクア”に報告をしていた。

 ※何故に斥候の“鴉天狗”だと分かるのか?答えは簡単!胸に斥候と書いたハン

  カチを下げている。

 

 因みに警護の“鴉天狗”の胸にも警護(三重担当)と書いてある。


 ほどなく“ハクア”が説明してくれる。


「“御君様”この先200メータ先に祠ががあります。


 そこにて待てという事です。念のために“御君様”は、ここでお待ち下さい。

 “ジーク”殿、後はお願い致しますよ!」


「任せよ!鴉天狗姫」といつもの調子で後ろから答える。

 ※その顔はぷるぷるのテカテカ…。


 祠に出向くのは“ハクア”が率いる“鴉天狗”の第三陣生き残り25名。

 

 “御君様:ゆうや”達は、用心の為に祠から離れた場所で待つ事にする。


「“御君様”ここより一歩も動かないで下さい。結界を張ります。出でよ!烏丸!」


 その言葉と同時に黒い鴉の羽が舞い上がり、黒羽で覆われたアーチ型のバリア

 を形成する。


 黒羽にぷよぷよと飛び交う虫が触れると青い放電が出て黒焦げる。


「では、行って参ります」と一礼して“ハクア”と数名の“鴉天狗”が祠へと向かう。

 〈パラパラ、パラ〜〉っと通り過ぎる後には植物の葉に微かに砂埃が降る。


 祠は巨木の前に苔生して静かに佇む。


 祠の前は、半径2メーター程の小さな広場でその外周を樹海の木々が壁の様に

 取り囲んでいる。


 念の為に“ハクア”は、一旦グルリと祠前の広場を半周し来た道と真逆方向か

 ら広場へと出て来る。


 “鴉天狗”が四方に散開する。


 僅か2メーター四方の広場には何者の気配も感じられない。


 “ハクア”も“鴉天狗”らの安全確認が済むと、広場へと足を踏み入れようとし

 て!横っ跳びに身を翻す。


 “鴉天狗”らも異変に気付き“ハクア”に駆け寄って来る。

 

 だが、間に合わない!


 “ハクア”の真後ろの首元に〈じわーーっ〉と人影が浮かび上がる。


「ピトーっ“ハクア”ちゃん捕まえたニャ!ピトーっ美味しそうニャ」


「ピトーっピトーっピト〜っニャー」※背中に張り付いて離れない。


「もう〜“くつ下ちゃん”ちゃんやめてよ、も〜」


 〈ゴロゴロ、ゴロゴロ〉喉まで鳴らし始めた“くつ下ちゃん”ちゃん。


 傍の“鴉天狗”らも対応に困る。仕方なく、付近の警戒に散る。。。


 この〈ピトーっピトーっ、ゴロゴロ、ゴロゴロ〉と喉を鳴らしている者こそ

 待ち合わせの相手“怪猫:猫娘のミケちゃんこと、“くつ下ちゃん”。


 何故に“くつ下ちゃん”…。


 それは足首が白くてくつ下を履いているように見えるからと“ハクア”が幼少

 時に名ずけたニックネーム。


 女子高生を思わせる振る舞いは、齢数百年は生きていても怪猫一族の中では

 キャピキャピギャル世代の位置付けだからか、“くつ下ちゃん”の性格からか

 は不明。


 “くつ下ちゃん”は、怪猫一族の外交面を任されている本家直系の孫娘…。


 孫娘猫で今回の会合に現れたのもその役目半分、“ハクア”に逢いたい半分の動機

 からなる。


 怪猫と鴉天狗…。


 猫と鳥…。


 猫が食べたくなる相互関係性があるのか、“くつ下ちゃん”が時折、“ハクア”を見

 ながら下舐め釣りするのはゾッする感があるが、孫娘同士という事もあり二人は

 昔からの大の仲良しである。


 話は早いわけだ!ちゃんと“くつ下ちゃん”に会えたので、“ハクア”は“御君様”の

 元へと戻り出す。


「ピトーっ」の“怪猫:“くつ下ちゃん”と“ハクア”が再会している頃、烏丸の結界

 に護られて待つ“御君様:ゆうや・みなみ”らにも樹海の住人が近づきつつあった。


 それは。。。突然、


 〈ギュルギュル、にゅるにゅるる〜〉と結界の周りの植物が騒めき始めて異変に

 気がつく。

 

 〈ギュるんギュルギュル、にゅるにゅるる〜〉と騒めきが高まりに従い


 烏丸の結界の外が、緑、緑色で覆われて何も見えない。


 植物に覆われてしまったようだ。


 警護の“鴉天狗”らが結界の外に対して〈ピリピリ〉と殺気立っている。


 この状況で結界の外へは出られない。


 〈ビシッビシッ〉と、結界が軋み地面から振動が伝わる。


 これは何者かが結界を物理的な圧力をかけて破壊しようとしている。


 振動と〈ビシッビシッ〉音が激しくなる。“鴉天狗”は、決死の表情で僕を護る

 体制をとる。


 〈パリーん〉突然それは来た。結界烏丸が弾けた!


 〈ブーン、ブーン〉と緑に染められた空間から風圧がやって来て、“鴉天狗”

 が一人また一人と吹き飛ばされて消える。


 目の前の“鴉天狗”が吹き飛ぶ。

 次は僕だ、“みなみちゃん”を抱き寄せて身構える。


 〈ブーン〉、〈ガシッ!〉〈ギリッギリっっジャリッ〉


「“御君様”ここは俺が支えるから、先ずは逃げてくれ、早く!」


 “ジーク君”が、大人二人分の大きさはあるような石の棍棒を大剣で受け

 止めている。


「“御君様”長く持ちそうにないからちょっと急いでくれ」


 僕は躊躇なく“みなみちゃん”の手を引き「逃げるよ」とぐっと手を掴み

 走り出す。


 結界の外は植物密集の緑の壁。〈ベリベリ、バキバキ〉と腕を差し入れ

 て壁を壊す。


 肩が入るくらいに拡げてそこに頭から体をねじ込んでもっともっと拡げる。


 緑の壁は5センチ程の厚さ、体をブルブル揺すりながら壁を壊す。


 壁の向こうには敵は居ないようだ、“ジーク”が戦っている方に頭を向ける。


 巨人が居た。


 象位の大きさの巨人だ!それが“ジーク”のいる場所にどデカイ棍棒を打ち下

 ろして更に押し潰そうと圧力をかけている。


 “ジーク君”には悪いがとても助成出来る相手ではない。


 ここは、“みなみちゃん”を逃すのが先決。


 〈グワーーッ〉と渾身の力で緑の壁を越えて外に転がり出る。


 即立ち上がって緑の壁の穴から出ている“みなみちゃん”の手首を掴み引っ張

 り出す。


「よいっしょ」と“みなみちゃん”も飛び出す。


 さ!逃げようと巨人と反対方向を向いた刹那、黒い影が立ちはだかる。


 なんと、巨人はもう一体居た!


 巨人と対峙しながら、絶望感に覆われる。

 僕は諦める訳には行かないんだ!“みなみちゃん”を

 守らないといけない。


 絶望感が一瞬で吹き飛び、頭脳がフル回転する。

 この窮地をどう脱するか!

 自分では無いような冷静な目が静かに動き出す。


 巨人の思考は、右か左のへ逃げるだろうから左右に注意集中だろう。


 裏をかくならと…。


 テレビで見たラグビー日本代表のフォーメーションが頭に投影される。


 瞬間、僕は“みなみちゃん”の手をグッと握り締める。“


 みなみちゃん”もグッと握り返してくる。理解できたね!行くよ!


 僕は短距離のダッシュのように、後の余力など気にせずに渾身の加速

 で巨人真正面に一直線の疾走。


 虚を突かれた巨人は、バランスを崩しながら真上に振り上げて上から

 僕らを叩き潰しにくる。


 棍棒が巨大過ぎる。


 僕らの通り過ぎたかなり後に〈どガーン〉と棍棒が地面に打ち据えられる。


 土煙り、葉煙りが舞い上がる。


 〈パラパラ、パラ〉と粉塵が収まる。


 視界が晴れてきた。二体目の巨人の股を抜いて巨人の後ろ側に逃げのびて

 いる。


 後ろの巨人は辺りを探している。真後ろに居るとは気がついていない!


「やったぞ」と“みなみちゃん”の手を引き更に逃げようとした時、右手側に

 気配を感じる。


 なんと…。


 そこには三体目の巨人が居た。


 またまた、窮地!うーと身構えた瞬間、「にゃんコロリーん」と頭上から

 声がして目の前の視界を真っ赤なパンティが塞ぐ…。


「ハア?ーーー」、真っ赤な残像が残る中、翻筋斗打って倒れる巨人が見える。


 更に倒れる巨人の上で〈ピョンピョンくるリン〉して此方に手を振っている

 猫娘が見える。


 ※何という緊張感の無さ…。


  先程までの緊迫感が嘘のようだ。


 そうこうして居ると此方の騒ぎを聞きつけてもう二体の巨人が、〈ドカドカ〉

 と走って来る。


 〈タタタターッ〉と先程のピョンピョン猫娘が四つ脚で巨人めがけて疾走する。


 なんと!なんと!お尻丸出しの真っ赤なパンティ丸出し…。


 〈グギャウウウウグウウ〉と腹の底に響く唸り声を上げて猫娘は最初の一体の

 脚を爪で撫で斬りして斬り飛ばす。

 

 巨人はグラーっと崩れ落ちる。


 まだ、崩れ落ちている最中にもう一体の巨人の首が〈ポーン〉とシャンペンの

 栓の様に飛ぶ。〈シャー〉と真っ赤なシャワー浴びて猫娘は

 〈ピョンピョンくるリン〉している。


「“ハクア”ちゃん遅い〜っニャ」と、顔を猫撫でしながら猫娘が此方に歩いて来る。


 ※僕は思う、余りに短過ぎるよそのミニスカート!困る。


 〜○〜


 猫娘ミケちゃん登場〜です(=^..^=)ミャー

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