利き腕の所在


頭の中から

声が聞こえた

この目の前に広がる景色は

偽りだと

おれの腕はポケットに突っ込まれていて

ここからでは確認、出来ない

何を考えるべきかそれをまず考える

辺りを見渡した

連中は多分どうでもいいことに騒ぎすぎなのだろう

大切なものはもっと別の場所に保管されている

そこは暗くて少し冷たい場所だろう

暴くべきだろう

おれは頭上の星を見つめた

今はもう消滅してそこには存在しないかもしれない星を

せっかく生まれてきたからには殺したいものだな

どうやらおれたちは手加減をしすぎたらしい

この世界のらしさを守る必要など無かったということに気付いた

おれはゆっくりとポケットから腕を引きずり出した


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