うさぎがぴょこん


うさぎがね

ぴょこんとね

はねた

それでね

うさぎがね

いったんだ

おつきさまにね

わたしのおともだちがいるんだって

だからわたしは

あいたいんだって

おれはね

ちからになりたくてね

NASAを紹介したんだ

「この兎を大至急、月面へと飛ばしてくれませんか?」

兎の耳を掴み利き腕からぶら下げながらそう口にした

NASAの職員は言った

「ちょっと待ってくださいよ、いくらあなたがあの方の御子息だとしてもそんなのは不可能ですよ」

「無理は承知で頼んでいる」

こちらも一歩も引く気はなかった

「個人の判断でどうこう出来る事柄ではないんですよ、こういうことは」

「ああ」

暫く沈黙が続いた

「頼むよこの通りなんだ」

おれは頭を下げた

職員はしぶしぶと承諾した

「………仕方がありませんね、ただし今すぐというのは無理です、今度の惑星調査の折にでも月面にほっぽり投げて来ましょう」

「ありがとう」

そして数ヶ月後、兎が人知れず宇宙の闇へと放り出されることになったのだ

すぐ死んだ

「あちゃー」

おれは理想とは程遠い現実に顰めっ面で頭を掻いた


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