詩人、ブチギレル


「おれの詩を受け入れろよ、凡人どもが!」

涙無しでは聞けない発言を繰り返していた

「うるせえ!」

まだ反論が始まる前にねじ伏せようとした

「おれは天才なんだよ!」

ふーふーと鼻息荒かった

それを眺めていたテーブルの上のおむすびが詩人に同情した

詩人の怒りは臨界点を突破した

「おむすびなんて要らねえからとっとと賞よこせよ!」

壁に向かって怒鳴り散らした

「殺すぞ! おれはなあ、詩なんて書いてるから世間から迫害されているんだよ! キチガイの一歩手前みたいな扱い!」

日頃の鬱憤が爆発した

「履歴書の趣味に『詩を書くこと』って書いて笑われる気持ちがお前にわかるか! おれはなあ、世間を見返してやりてえんだよ!」

息せき切ってまくし立てた

酸素がこの詩人の肺に入りたくないと主張した

「おいい、こんなことまで言わせるんじゃねえよ! おれはなあ、天才なんだよ!」

瞳孔を開き叫んだ

「おれの詩を金を払って読め!」

それでもいい筈だ

詩人はそう思った

そういった世の中であっても良い筈だ

たが実際そうではなかった

「ウハウハしてえとか言ってるわけじゃねえ! 読者をよこせ! きめえとか何が可笑しいんだくすくすと笑いやがって!」


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