天才詩人で良かった


詩の続きを再開しようではないか

おれは言った

どこまで書いたかももう覚えていないが

詩の続きってやつを

書き殴ってやろうではないか

殴るだけでは飽き足らずに

蹴ったり

首も締めてやるぞ!

さあやるぞ!

おれは机に座りボールペンシルを暴力的に握り締めた

ボールペンシルにはパイロットと書かれていた

(………パイロットだって?)

おれは手元のそいつを凝視した

おれは詩人

そしてこいつはパイロットだった

「ぶーんっ」

束の間の遊覧飛行を楽しんだ

おれって愉快な着眼点を持つ少し変わった人間だよなあ

自画を自賛した

鼻の穴をひくひくさせて喜んだ

こんな粋な描写が詩の途中で挿入されていたらみんなびっくりして腰をぬかすぞ

しめしめ

「ひゃあ! 天才詩人さまの、ご登場だあ!」

持っていたおにぎりを地べたに落っことして読者自身もぺたりと尻もちをついてしまうかもしれない

おれの創作ポエムが虹を駆ける

読者は卒倒して鼻血でも出しておけば良い

むふふ

そうしておれは真っ白なノートを自らの文字で汚すことに決めたのだった


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