ウィオラの旅日記 ~魔法剣士ウィオラは旅を通じて仲間と巡り合い、紆余曲折の冒険を経て成長する~

御鏡 鏡

第一部 置手紙 

序章 プロローグ

プロローグ

 それは突然だった、誰かが転移してきたのだ。



 転移の兆候は私にはつかめなかったが、師匠が立ち上がったことで分かった。


 それくらいの気配察知能力は私にもある。



 新たに、誰かの気配がしたからである。


 丁度休憩中だったのだ。




 師匠が新たに沸いた気配のほうへ向かった。


 私は師匠から、静止のサインをいただいたので立ち上がらなかっただけであった。


 その場から静かに気配をうかがうことにした。




「冒険者ギルドからの使者です。老師、お願いしたいことがあり参りました」と大きな声で挨拶としたようだった。


 お願いしたいことか、何だろう……と思っていると。


「面倒を見て欲しい者が出た、叩けば伸びる!」と大きな声がまた聞こえた。




 そして少し時間が経った。


 そろそろ立ち上がろうかと思った次の瞬間、二人の気配が消えたのであった。



 師匠の気配まで消えたのだ!


 思わず気配を絶っただけかと思い、魂魄こんぱく界側から師匠の気配を探る。


 その場に存在していないことが、改めて分かっただけであった。



 二人が立ち会っていたとおぼしき場所までいった。



 その場に書置きと思しき、薄緑色のモノが一枚落ちていた。


 それには、「わしゃ南に行く、来たければフレイニアまで来るがよい」と焼き付けられてあるモノであった。



 一瞬落胆するのかとも思ったが、“来たければ来るがよい”なんて書置きがあるのだ。


 と思った。



 その前に、しなければならないことがあった。


 まずは街に戻るのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る