第十二節:機転法術

「後の回復に残しておいてくださいよ。刀の方も自前で、何とかしますので。それと敵陣にあまり、食い込まないでくださいね。一緒に飛んでっちゃいますよ?」と私がいったのである。


「後ろの集団を崖にめり込ませます」と私がいった。


「その後はどうなるか分かりませんが」と私が続ける。


「楽しみにしてるぜ」と『ウィーゼル』、その直後術が完成する。


 チャージグラビティープラン、前方と方向指定する。この術の方向指定は自分から、見える方向でいいので、楽なのであった。


 直後九匹は居ようという魔物すべてが崖に


“バンバンバンババンッババババンッ!!!”


と崖に直撃ちょくげきした上に、めり込み崖が崩れ始めた。


 九匹も魔物が最大十二メートルは、めり込んだのである。


 大穴が崖に開いたのであったしかも一列に綺麗に飛んでいったため、つまり九個も大穴が崖下がけしたに十メートル前後の長さで貫通したのであった。



 その振動しんどう崖目指がけめざして、歩いていた二人にも伝わったのである。


 そのくらいの大技であった。


「早くいこう二人に何かあったのかもしれん」と『ゲルハート』は『セリア』を抱きかかえるそちらの方が、確かに速かった。



「また溜ってきましたね」と背中合わせの二人の内、私がいった。


「精神力はまだ持つのか?」と心配そうな『ウィーゼル』がいった。


「まだもう少しは、持ちますが。この数ではもう一度塊を飛ばした方が、よさそうですね。崖狙がけねらいで、上に飛ばしても回避されそうなので」対象はさっきのを警戒してか一度に狙える数が減っていた最大五匹かなぁ? と私は思っていたわけではある。


 崖の上に何かがある様だった、なにかは知らないがそれを警戒けいかいしていた、やはり狙うべきは崖であった。


 それにヒトなら受け身はほとんど取れないで落ちて来るが、魔物は着地がうまかったのである。



「よし五匹巻き込めそうなので行きます」と私がいった。


 構文が簡単なうえに、早く唱えられ、尚且なおかつうまくすれば、同士討どうしうちも狙えるのだ。


 なんでみんなが使わないのか? 不思議なくらいであった。


 実際は場所と状況が、一致いっちするというのがまれであるからではあったのだ。


 ほどなく四度目の強化版、呪文が炸裂する。


 チャージグラビティープラン!! 前方と、今度はうまく六匹が巻き込まれてくれた。


 崖にさらに着弾する。


“バンバンバンバババンッ!!!”


 崖の根元は大変なことになっていた、『セリア』と『ゲルハート』が、崖の根元まで到達していたのだ。




◆ 視点は切り替わる『ゲルハート』視点


「これ以上は登れん。この崖崩れるぞ」とヒビが沢山そこいら中に入っていることを俺は、『セリア』に伝えたのである。


「そのまま抱えていて、梟に目を移すわ」と『セリア』がいった。


 梟が再度飛び上がる、上空に上がるその頃には「下の魔物が減ってる。何で?」と、『セリア』の口から言葉が漏れる。



 そしてセリアはその光景を見るのである、魔物が減るという意味を。




◆ 視点は戻る私こと『ウィオラ』視点


 『ウィーゼル』がいった「俺の前の四匹くらいを飛ばせないか?」と。


 視界に、捕えないといけないわけでは無い。


 レイダーを再展開する、「五匹まとめて飛ばすよ、動かないでね」と私が『ウィーゼル』にいった。


 そして強化版をぶっ放すチャージグラビティープラン!!! 左斜め前! その瞬間、その五匹だか六匹は又もや崖にかなりの超速度で突っ込み、崖をさらにえぐったのである。


 その一撃が崖の耐久度をゼロにした、といっても良かった。


 『ウィーゼル』がいう「お見事」と残った魔物は私の前に居る二匹だけになった。




◆ 視点は切り替わる『ゲルハート』視点


「何て子、センスの塊ね」『セリア』が感心したと、いう呟きを漏らす。


 俺はいった「俺にも分かるように説明してくれ」と。


「『ウィオラ』ちゃんの魔法の使い方に、天才的なセンスが有るのよ、然もアレは異界魔法ね。詳しい所は私も知らないのだけれど、異界の力を操り力を、自在に引き出す魔法の一種よ。それであんなに一気に、敵の数が減ってたのね、崖の上は見えないけれど、崖の上に何かがあるのは分ったみたいね。私たちもぐずぐずしてられないわ。崖の上にはいかなくてもいいからせめて、魔導士が見えるところに行かないと。『ウィオラ』ちゃんかなり消耗が激しいはずよ」というと梟を滞空モードに設定して、『セリア』が目を戻して自身の目を開いた。



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