夢のつづき・その2

時は6月8日夕方4時過ぎのことであった。


尾鷲市のたつろうさんの実家でくだらんもめ事が発生した。


政子六郎夫婦とたけろう由芽夫婦の4人は、大広間で話し合いをしていた。


たけろう由芽夫婦は、マダガスカルの大農園を購入したことを政子六郎夫婦に伝えた。


政子六郎夫婦は、たけろう由芽夫婦が急にマダガスカルへ行くことを聞いたけんおたついた。


政子は、泣きそうな表情でたけろう由芽夫婦に『ここにいてほしい。』とコンガンした。


政子が言うた言葉に由芽がブチ切れた。


「はぐいたらしいシュウトメねぇ!!うちらはここにいたら甘えが出るけんマダガスカルへ行くと訣意(けつい)したのよ!!それをあんたらが頭ごなしに否定したけんブチ切れたのよ!!」

「(泣きそうな声で)頭ごなしに否定していないわよぅ~」

「ほんならなんで否定すんのよ!!マダガスカルへ移住することがそんなにいかんのかしら!?」

「いかんとは言うてないわよぅ…マダガスカルへ行かなくても、ここでもチャレンジできることはたくさんあるというてるのよ!!」

「あるわけないでしょ!!こななクソイナカでどななチャレンジができると言いたいねん!?」


政子は、泣きそうな声で由芽に言うた。


「それじゃあ、あなたたちはマダガスカルへ移住したあとどななことにチャレンジするのよ?」

「さっきも言うたわよ!!作物を作るためよ!!」

「作物を作りたいならここでもできるわよぅ~」

「ここにいたら甘えが出るからマダガスカルへ移住するのよ!!」

「由芽、ここでやめとこや。」


由芽を止めたたけろうは、政子六郎夫婦に突き放す声で言うた。


「あんたらが言うチャレンジなんかチャレンジじゃねえんだよ!!段ボール折りや魚の選別やワープロでクソ幹部のゴルフコンペの案内状を打つことなんかチャレンジなんかじゃねえんだよボケ!!」


政子六郎夫婦にボロクソに言うたたけろう由芽夫婦は、スーツケースとボストンバッグを持って家出を強行した。


たけろうは、政子六郎夫婦に『この家には2度とかえらへんけん…あんたらを一生うらみ通すけん…』と言うてきりすてた。


たけろう由芽夫婦が家出したあと、政子はグスングスンと泣いた。


あぐらをかいてすわっている六郎は、腕を組んでひねていた。


それから60分後であった。


ところ変わって、台所にて…


エプロン姿の優香は、晩ごはんの支度をしていた。


そこへ、共稼ぎの世帯の奥さま(全農の職員)が勝手口にやって来た。


奥さまの家は、銀行員の夫と高2の長男と中2の次女の4人暮らしである。


長女(19歳・女子大生)は、大阪にいるので不在である。


奥さまは、優香に高2の長男のお弁当を作ることをお願いしていた。


奥さまは、いつものように優香にお弁当を作ってと頼んだ。


「優香さん。」

「あら、奥さま。」

「晩ごはん時にもうしわけないけど、(長男)の明日のお弁当を作ってくれるかなぁ~」

「あっ、はい…」


優香は奥さまの長男のお弁当作りを始めようとしたが、ひどく気迷っていた。


奥さまは、ひどく気迷っている優香に声をかけた。


「優香さん。」

「えっ?」

「どうしたのかなぁ…お弁当を作ってほしいのだけどぉ…」


奥さまの呼びかけに対して、優香は『作るよぅ~』とめんどい声で言うた。


奥さまは、煮えきらない声で優香に言うた。


「早く作ってよぅ~」

「作るわよぅ~だけど…その前に、今日ねぇ(長男)くんと同じ高校に通っている子から話し聞いたのよ…いつ頃か分からんけど、(長男)くんが…人のお弁当を食べさせてもらっていると言うてたわよ!!」

「そんなはずないわよ…(長男)は優香さんの作ったお弁当おいしいおいしいと言うて残さずに食べているわよ…うちにも、優香さんの作ったお弁当のことをむじゃきに話していたわよ。」

「だけど、学校の子が人のお弁当を食べさせてもらっていると言うたのよ!!お弁当箱は空っぽだけど、人のお弁当を食べさせてもらっていると聞いたけんフシンに思ったのよ!!」

「(おたついた声で)そんなことはどうでもいいからお弁当作ってよ!!」

「(イラついた声で)だから作るわよぅ~だけどね!!うちは(長男)くんが心配だから奥さまに聞いとんよ!!もしかしたらだけど、(長男)くんは授業中にハヤベンしているのじゃないのかなぁ~」

「ハヤベン…」


奥さまは、長男が授業中にハヤベンしているのではと優香から言われたので、顔が真っ青になった。


優香は、奥さまにこの最近知らないところでいばっているのではないかと言うた。


「もしかしたらとは思うのだけど、(長男)くんは朝ごはん食べずに学校に行きよんかなぁ…奥さま!!人の話を聞いてよ!!」

「そんなことはいいから早くお弁当を作ってよ!!うちは待っとんよ!!」

「奥さま!!この最近知らないところでえらそうな態度を取っているわよ!!あんたがえらそうな態度になっているから息子がハヤベンするようになったのでしょ!!」

「そんなことはカンケーないわよ!!早くお弁当を作りなさいよ!!」

「はぐいたらしい女ね!!出てゆきなさいよ!!えらそうな態度を取る人のクソセガレに作るお弁当なんかないわよ!!出てゆきなさいよ!!」


ブチ切れた優香は、奥さまに金物のボールで殴りつけた。


そして、表へ引きずって出したあとドカバキの大ゲンカを起こした。


(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)


その頃であった。


たけろう由芽夫婦は、名古屋行きの特急ワイドビュー南紀に乗ってあてのない旅に出た。


たけろう由芽夫婦は、ケータイを持たずに家出したあと行方不明になった。


もう2度と帰ることはないだろう。

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